トヨタ、オリンピック・パラリンピックに向けた専用ロボット開発、公開

2019年07月25日 07:35

Toyota Olympic Robot

トヨタが公表した2020年東京オリンピック・パラリンピックをサポートする専用ロボット

 トヨタは2020年の東京オリンピック・パラリンピックをサポートする専用ロボットを公表した。競技会場にロボットを提供することで、遠隔地から会場の雰囲気を体験したり、選手と交流したりできる。

 トヨタは2015年に国際オリンピック委員会(IOC)と国際パラリンピック委員会(IPC)と最高位の「ワールドワイドパートナー」契約を結んだスポンサーだ。東京五輪などでは燃料電池車(FCV)など3000台以上の車両を提供し、大会の運営を支援する計画だ。加えて今回発表したロボットでの仮想的な「移動」も提供して、大会活性化につなげる。トヨタが自動車生産に用いる産業用ロボットの技術を応用した最新技術を導入し、新たな移動のあり方を提案していく考えだ。

 発表したマスコットロボットの「ミライトワ/ソメイティ」(写真中央の2体)は、イノベーティブな大会を目指し、東京2020組織委員会とトヨタが協働で開発した。頭部に搭載したカメラで近づく人を認識すると、目の表情と動作を連動させ様々な感情を表現する。

 また、マスコットロボットはコントローラとして写真右上のヒューマノイドロボット「T-HR3」を操作し、動きや力を相互に伝達。映像や音声に加えて、アスリート等とのハイタッチや会話などを通じ、まるで目の前で交流しているかのような臨場感あふれる体験を実現する。

 左上の「T-TR1」は高さが2m強で縦長のディスプレーが搭載されたデザイン。上部に付いた360度カメラの映像などで、遠隔地にいてもロボットと同じ景色や音を体感できる。ディスプレーに遠隔地にいる人が映るため、現地と映像や会話で双方向のコミュニケーションもとれる。遠隔地からの操作、ロボットの前方の「ガイド」を認識し追いかける機能を活用し、最大速度約6km/hで動く。体が不自由な人や高齢者が、ロボットを通し、競技会場の雰囲気を体験することなどを想定して開発した。

 砲丸投げなど投てき競技で導入を予定する「FSR」(写真右下)はセンサーや高精度地図を活用し自律走行する仕組み。選手が投げた砲丸などを回収し、返却地点まで運ぶ。

 会場で競技や車イスの観客を支援するロボット「HSR」(Human Support Robot)、「DSR」(Delivery Support Robot)の提供も実施する。オリンピックスタジアムの一部の車いす席において、HSRが観戦席への誘導や物品運搬などを行ない、心置きなく観戦が楽しめるようサポートする。また、東京2020大会専用に開発されたDSRが、専用タブレットからオーダーされたドリンク等の物品を観客席まで届けるサービスも計画されている。(編集担当:吉田恒)