2013年の改正労働契約法による「無期転換ルール」が施行5年後の18年4月から実施されている。15年の改正労働者派遣法によって派遣会社に「雇用安定措置」を講ずることが義務づけられたが、その措置とは1.派遣先への直接雇用の依頼、2.新たな派遣先の提供、3.派遣元での無期雇用、4.その他安定した雇用の継続を図るための措置となっており、「無期転換ルール」はこの措置の一つとして義務化の対象として18年9月より運用されている。
この点に関し、連合(日本労働組合総連合会)が全国の派遣労働者1000名を対象に「派遣労働者に関する調査」を6月13日から20日にインターネット調査により実施し、その集計結果を7月下旬に公表している。
「雇用安定措置」を規定した改正労働者派遣法についての認知度は、「詳細まで知っていた」は9.2%にとどまり、「詳しくではないが知っていた」も含めた合計で60.9%と6割にとどまった。
労働契約期間の定めがあり派遣期間が3年以上の者145名への実施状況は「いずれの措置も講じられていない」が64.1%と6割以上の者が雇用安定措置を講じられていないようだ。講じられた雇用安定措置では「派遣元での無期雇用」が15.2%と最も多くなっており、「派遣先への直接雇用の依頼」では希望状況は14.5%であるのに対し実施状況は7.6%と差がみられる。雇用安定措置を希望した者のうち24.6%が「講じられていない」と回答しており、希望しているにもかかわらず対応がなされていないケースが少なからず存在しているようだ。
措置の対象となる者に希望する措置は何か聞いた結果では、「新たな派遣先の提供」が38.9%で最も多く、次いで「派遣先への直接雇用の依頼」が32.3%と続いている。「無期転換ルール」に関する認知度は「詳細まで知っていた」は11.4%のみで「詳しくではないが知っていた」を含めても66.1%と7割以下だ。
無期への転換申込権の保有状況は「申込権がある」との回答は20.5%、「申込権はない」が79.5%で保有なしが多数派となっている。保有者のうち「申し込みをした」と回答した者は25.9%、そのうち「無期にならなかった」者が25.0%存在し違法な対応を受けているケースも存在するようだ。
その一方で不利益を伴う対応を懸念して希望・申し込みを行わない者も少なからず存在することが自由記述欄から垣間見え、制度自体が円滑に機能しているとは言いがたい状況だ。(編集担当:久保田雄城)