2019年FIA世界ラリー選手権(WRC)第9戦ラリー・フィンランドの競技最終日ディ4が8月4日、ユバスキュラの東側エリアで行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのオィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヤリスWRC 8号車)が優勝。2年連続でラリー・フィンランドを制した。
また、ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(10号車)は総合3位でフィニッシュ。3年連続で2台のヤリスWRCが表彰台フィニッシュを果たした。なお、前日のデイリタイア後、ラリー2規定に基づき再出走したクリス・ミーク/セブ・マーシャル組(5号車)は、リタイアだった。
ラリー・フィンランドの最終日は、サービスパークの東側で2本のステージを各2回走行。4本、計45.74kmのSSで行なわれた。3日目で首位に立ったタナックは、最終日最初のSS21でベストタイムを記録。総合2位のライバルとの差を22秒に拡げた。タナックにとってはWRC通算200回目のステージ優勝となり、ヤリスWRCでは今季50回目、通算120回目だった。その後もタナックは速いペースを保ち、最終的には2位に25.6秒差をつけ、第7戦ラリー・ポルトガル以来となるシーズン4勝目を記録した。
また、ボーナスの選手権ポイントがかかる最終SSのパワーステージでもベストタイムを刻み5ポイントを追加獲得。今回の1戦で最大となる合計30ポイントを加算し、ドライバー選手権およびコ・ドライバー選手権におけるリードを、前戦終了での4ポイントから、22ポイントに拡げた。
総合2位のライバルと12.4秒差でデイ4をスタートしたラトバラは、2本目のSS21で今大会8本目のベストタイムを記録。ライバルとのタイム差を7.3秒に縮めた。その後逆転には至らず総合3位でラリーを終えたが、今シーズン初となるポディウムフィニッシュを果たす。その結果、チームはマニュファクチャラーズ選手権ポイントを伸ばし、首位との差は縮小しました。なお、デイ4で再出走を果たしたミークは、SS22でコーナー内側の石に当たり、クルマの左前にダメージを負い完走を逃した。
チーム・トヨタはフィンランドに拠点を置く。ホームとはいえライバルとしのぎを削っており、楽な戦いではなかった。一時は出走する3台が1位、2位、4位となり、表彰台独占の期待も膨らんだが、3日目にアクシデントが発生。2台がサスペンションの損傷などで大きく順位を落としていた。
■ラリー・フィンランドの最終結果
1)オィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ(トヨタ ヤリス WRC)
2)エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム(シトロエン C3 WRC)
3)ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ(トヨタ ヤリス WRC)
4)アンドレアス・ミケルセン/アンダース・ジーガー(ヒュンダイ i20 クーペ WRC)
5)セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア(シトロエン C3 WRC)
6)ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー(ヒュンダイ i20クーペ WRC)
WRC次戦は、8月22日から週末25日にかけてドイツ西部のボスタルジーを中心に開催する第10戦「ラリー・ドイチェランド」だ。第4戦ラリー・フランス ツール・ド・コルス以来のターマックラリーとなるドイツ戦は、ステージごとにコースの特徴が大きく異なる。軍事演習場「バウムホールダー」内のスリッピーなコンクリート路面、モーゼル河畔に広がるブドウ畑の狭くツイスティな農道、流れるようなコーナーが続くザールラント州の田舎道など、異なるターマックステージが待つ。また、天気が変わることも多いため、クルマのセットアップとタイヤ選択が重要な鍵を握る。チームは昨年のこのラリーでタナックが優勝しており、大会2連覇を目標とする。なお、今年のラリー・ドイチェランドには、TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、4台目のヤリスWRCで出場。WRCイベントに初めてWRカーで挑む。(編集担当:吉田恒)