再生可能エネルギー発電 太陽光は縮小傾向。風力や水力が拡大

2019年08月07日 07:21

画・再生可能エネルギー発電。太陽光は縮小傾向。風力や水力が拡大。

富士経済が再生可能エネルギー発電システムの国内市場を調査。2018年度の市場規模は1兆521億円。8割を占める太陽光発電は縮小傾向で推移。風力発電システムや水力発電システムは拡大傾向。

 再生可能エネルギー発電は2000年代までは年平均5%程度の緩やかな拡大で推移していたがFIT(固定価格買取制度)が導入された13年以降は計画から運用までのリードタイムの短い太陽光発電が年平均30%の勢いで急拡大することとなった。供給過剰を懸念した経産省は太陽光の買取価格の段階的引き下げや入札制の拡大を図り、安易な参入を行った事業者の倒産が急増する事態となったがこのところ落ち着きを見せている。

 7月下旬、マーケティング業の富士経済が再生可能エネルギー発電システムの国内市場を調査し、その結果を公表している。太陽光発電は淘汰が進んだとはいえ未だに再生可能エネルギー発電システム全体の8割を占めている。レポートでは18年度の市場規模を1兆7195億円と推計、前年比4.1%の増加となったが、太陽光はコスト低下が進みグリッドパリティ(既存発電と等価か安価)になると予想され、25年までにはFIT適用がなくなり自家消費を目的とする導入が主流となって今後は縮小傾向に反転すると予測される。

 太陽光以外の18年度の市場規模は合計3296億円と見込まれている。風力発電は18年度に陸上の大型および小型の発電システムともに好調で、市場は1000億円規模に迫っている。25年度頃までは陸上大型の事業計画認定取得済案件が市場をけん引するとみられるが、小型風力発電システムが20kW以上のFIT区分に統合されることで19年度以降は減少傾向になり、20年代後半より洋上風力発電の拡大となるとレポートは予測している。

 水力発電はメーカーの供給が追い付かず市場は縮小傾向で推移しており、18年度も同様で前年割れとなる見込みだ。20年度に予定されている発送電分離に伴って既存事業者の積極的なリパワリングやフルリニューアルが進められる見通しで、20年度以降これが市場拡大をけん引すると見られている。

 バイオマス発電は改正FIT法への対応や駆け込み認定案件に対する事後規制などを受けて停滞、中長期的には市場は縮小と見られる。地熱発電は今のところシェアは小さいが、政府の地熱発電開発導入促進策により今後の市場拡大が期待される。

 30年度には、現在最大シェアの太陽光が4678億円まで縮小、一方、太陽光以外は5843億円まで拡大し、水力、地熱は開発・導入に時間を要するため、風力発電が太陽光以外で最大のシェアになると予測されている。(編集担当:久保田雄城)