政権意向に沿ったものしか認めないなど毛頭ない

2019年08月09日 06:28

 柴山昌彦文部科学大臣は8日の記者会見で、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展、その後」を中止するよう脅迫FAXを送った50代の会社員の男が愛知県警に威力業務妨害容疑で逮捕されたことについて「暴力や脅迫はあってはならない。逮捕されてほっとしている」と述べた。

 また企画展が中止されたことについては「主催者である『あいちトリエンナーレ』実行委員会(会長・大村愛知県知事)が判断されるべき事柄であり、諸般の事情を勘案して中止されたのだと考えている」と主催者側の判断であることを強調した。

 「表現の不自由展、その後」には慰安婦を象徴する少女像などが展示されていたが、自民党の保守派議員や名古屋市長らが文化庁から補助金の出ている事業であることを理由に展示内容に干渉する発言をしていたことへの受け止めについて、文化庁としては補助金が入っている場合には内容に干渉できると思うかとの記者団からの問いに「文化資源活用推進事業は第3者の審査を経て採択されている。審査は申請書に基づいて、事業目的に合致しているかどうかの観点から行われている。場合によっては個別にどのようなことを行うのかというようなことも審査の過程で質問されることもあるということだが、この審査の過程を、だれも『検閲』とは言わないのではないか」と述べた。

 そのうえで柴山大臣は「補助金の出る事業について政権の意向に沿ったものしか認めないというようなことは言ったこともないし、全く毛頭、毛の先ほども考えたことはない」と強調した。

 柴山大臣は「これまで何回も開催されている展覧会なので(企画展が)中止されるというのは、大変大きな出来事だと思っている。中止については実行委員会が判断したと思うが、しっかり検証頂きたい」と述べた。

 社会民主党の福島みずほ副党首は脅迫FAX容疑の男が逮捕されたのを受け「表現の不自由展、その後」は再展示を行うべき、とツイッターで求めた。(編集担当:森高龍二)