子どもの未来を育む取り組み。子ども向けの企業CSR活動に込められた思い

2019年09月22日 11:18

画・小学校プログラミング必修化。賛成97%。「親が教えられない」不安も4割。

深刻な少子化問題を抱える日本にとって、子どもたちはまさに、この国の未来をも左右する国の宝といえるだろう。

 「子宝に恵まれる」という言葉があるが、深刻な少子化問題を抱える日本にとって、子どもたちはまさに、この国の未来をも左右する国の宝といえるだろう。

 そんな大切な子どもたちを豊かで健全に育むため、昨今、子どもを対象とした企業のCSR活動が以前にも増して盛んになってきている。

 例えば、森永製菓〈2201〉は、子どもたちに直接的体験の場を提供する「森永エンゼルスクール」という取り組みを行っている。社会が便利になるにつれ、子どもたちの周りから少しずつ、直接何かを体験するという機会が失われつつある。そこで同社では「食育体験」「自然体験」「スポーツ体験」という三つの柱を立て、年齢ごとの成長過程や発達課題に応じた体験型のプログラムを展開。創業者である森永太一郎氏の「西洋菓子によって、子どもたちを栄養面から支えたい」という願いを受け継いだ「菓子育」 活動をはじめ、富士五湖エリアでのキャンプや、伊賀の里山での自然体験、森永製菓の社員で北京、ロンドンオリンピックで銀メダルを獲得した太田雄貴選手が中心となって開催されるフェンシングフルーレの子ども大会など、幅広い活動を行っている。

 また、ミツバチ産品の製造販売業を営む山田養蜂場では毎年、「自然環境の大切さ」「人と人とのつながり」「命の大切さ」をテーマに、子供たちが自ら学び、深く考え、行動につなげられる本を「みつばち文庫」として選定し、全国の小学校に寄贈している。第21回を迎える今回は、同社が開催している「ミツバチの絵本コンクール」で第1回最優秀賞を受賞した作品「蜜蜂さん ありがとう」をはじめ、10冊を1セットにした「みつばち文庫」を全国の小学校1825校に寄贈する。

 2016年に文部科学省が発表した「学校図書館の現状に関する調査」によると、2015年末時点での小学校の図書標準達成学校数の割合は66.4%。なんと3割を超える小学校の図書館で本が足りていないことが分かった。山田養蜂場が本を寄贈するのは、かつて農型の社会において地域ぐるみで子供たちの成長を見守ってきたように、この活動を通して次世代を担う子どもたちに「心の栄養」を届けていきたいという思いが込められているという。

 一方、CSRの主要テーマのひとつに「人を支える」を掲げる東京海上グループ〈8766〉の取り組みもユニークだ。同社はこれまでにも、環境問題や防災をテーマにした出前授業などに積極的に取り組んでいたが、2016年7月からは、子どもたちが仕事や経営について学ぶ機会のひとつとして「リスクと未来を考える授業」を開始。子どもたちの未来をひらくキャリア教育の新しいカタチとして注目されている。

 授業では、生徒たちはグループに分かれ、パン屋の経営者として、カードゲーム形式で売上を競い合う。与えられた予算を元手に、新商品開発や店内の改装、保険の加入等のアプローチを行っていくが、金銭面だけではなく、時には店長が病気になったり、食中毒が発生してしまったりと、予期せぬトラブルも。こうしたゲームを通して、店舗を成長させながらリスクを回避する重要性を学び、保険の大切さなどをゲーム感覚で体験できる授業となっている。

 ここに挙げたのは、子どもたちを対象とした企業CSRのごく一例に過ぎない。他にも様々な企業が、事業の特色を活かした活動を展開している。今は昔と違って、スマホやインターネットで調べれば簡単に見つけることができるだろう。中には、学校や家庭で過ごすだけでは決して経験できないような特別な体験を提供してくれている企業も多いので、成長期の子どもをもつ家庭は、ぜひ積極的に参加したり、利用して欲しいものだ。(編集担当:藤原伊織)