時代と共に変化した少年たちの犯罪傾向。心を育み、子どもたちを救え!

2019年08月16日 16:34

警視庁生活安全部少年育成課が公表している、平成30年中の「少年育成活動の概況」によると、検挙・補導された20歳未満の非行少年は、平成22年から9年連続で減少傾向にあるものの、少年による路上犯罪やひったくり、詐欺などは増加しており、とくに振り込め詐欺での検挙率は約2倍にもなっている。また再犯者率も36.5%と高く、8年連続30%台となっており、上昇傾向にあるという。さらに、軽犯罪法違反は大幅に減少しているものの、大麻取締法違反は6年連続で増加しており、少年たちを取り巻く状況が大きく変わってきていることを示している。

 青少年が犯罪にはしってしまうきっかけや原因は本人の性格面などの問題だけでなく、親子関係や学校への不適応感、生活習慣の乱れ、不良行為体験への憧れなど様々だ。少年たちを取り巻く社会の環境全てが、少年犯罪や非行に関わってくる。一昔前の、いわゆるヤンキーやツッパリなどと呼ばれるような不良少年たちが鳴りを潜めて、詐欺や大麻などの陰湿な犯罪にかかわる少年が増えていることは、社会の変化を反映しているといえるだろう。

 内閣府の調査によると、青少年の非行は「親に問題があるから」と考えている人は70%以上に上るという。しかし、本当に親だけの責任だろうか。未来を担う子どもたちは、国のかけがえのない財産だ。ましてや、少子化が社会問題となっている今、社会全体でもっと、少年たちのことを考えるべきなのではないだろうか。

 そんな中、企業の社会貢献活動でも「子どもたちの心を育む」ことを目的としたものが増えている。

 例えば、株式会社山田養蜂場が開催している「ミツバチの絵本コンクール」などがある。今年で第3回目となる同コンクールは、ミツバチをテーマにした絵本のストーリー作品を募集し、その後、ストーリー部門の最優秀賞に選ばれた作品の内容にあわせたイラストを募集する2段階形式のコンクールだ。創作絵本のコンクールは他にも数多くあるが、このコンクールでは単に面白い絵本を募るのではなく、社会性生物であるミツバチを作品のテーマに据えることで「自然環境の大切さ」「社会とのつながり」「生命の尊さ」を子どもたちに学んでもらおうという意図が大きい。また、最優秀賞作品は実際に絵本として製作され「みつばち文庫」として全国の小学校に配布される。優しい心で作られた絵本はきっと、それを手にした子どもたちの心も温かく育ててくれることだろう。

 また、マヨネーズでお馴染みのキューピー〈2809〉は、健全な食生活は豊かな人間性を育むことにもつながるという思いから、食育を中心とした社会貢献活動に力を入れており、小学校への出前授業「マヨネーズ教室」を全国で実施したり、食の情報誌「キユーピーニュース」を毎月発行、DVDを学校や消費生活センターなどに無償で配布する「メディアライブラリー活動」なども行っている。

 東京ディズニーリゾートを運営する オリエンタルランド〈4661〉も、小学5、6年生を対象に、夢について考える「ディズニー・ドリーマーズ・エクスペリエンス」を実施。東京ディズニーリゾートのキャストとの交流や、エンターテイメント出演者らとの対話や体験などを通じて、楽しみながら「夢を持つことのすばらしさ」「夢を持ち続けることの大切さ」を体感するプログラムを無償で提供している。

 残念ながら、少年たちの犯罪をゼロにすることは難しいかもしれない。でも、幼い内から心を豊かにすることを大人たちが心がけ、そのきっかけを与えてあげれば、人を騙したり、陥れたりするようなことに手を染めようとする子どもは減るのではないだろうか。

 親なら誰しも、自分の子どもに非行に走ってほしいとは思っていないはずだ。でも、とくに単親や共働きの家庭では仕事などで忙しく、どうしても子どもとのコミュニケーションが疎かになってしまうこともあるだろう。そういう時は無理をしないで、社会に協力を求めることも必要だ。ここに挙げたような企業のCSR活動などを上手く利用し、参加してみてはいかがだろうか。(編集担当:藤原伊織)