安倍晋三総理は28日開いた経済財政諮問会議で病院の再編統合などを含む「地域医療構想の着実な実現へ」強い意欲を示した。安倍総理は「地域住民の医療・介護サービスへのニーズを的確に反映し、持続可能で安心できる地域医療・介護体制を構築していくためには地域医療構想を実現していくことが不可欠だ」と強調した。
前経団連会長の中西宏明氏はじめ新浪剛史ら諮問会議民間議員4人は「病院の再編統合・医師の確保、介護サービスの充実など狭義の医療分野に留まらない施策の工夫によって、地域一体となって総合的に取り組むべきで、限られた医療資源を効率的かつ有効に活用し、人口動態等が急速に変化する中で地域ニーズを的確に反映した医療・介護サービスの体制を築く観点から、都道府県の地域医療構想がまとめられた。しかし、我が国の病床の7割超が民間病床であることもあって、2年以上経過したものの、進捗は十分ではない」と指摘。
民間議員らは「地域医療構想の実現のカギとなる(1)急性期から回復期への病床転換(2)官民合わせて過剰となる約13万床の病床削減(3)介護医療院を含む介護施設、在宅医療への転換を重点的に推進すべく対策を講じるべき」と指摘とする意見を出した。
特に「病床再編にまず地域医療の中核を担う公立・公的病院を手始めに、官民ともに着実に進めるべき」と求めたほか「病床過剰地域にある民間病床の再編に資する分析を今年度内に示し、病床機能転換、病床整理・合理化を積極的に図る民間病院等に今後3年程度に限って集中再編期間として大胆に財政支援すべき」などとした。
しかし「地域医療構想」を巡っては今年9月、全国424の病院をいきなり名指しし、再編・統合を検討するよう求め、来年9月までに具体的結論を求めるという強引な病院再編要請がなされ、厚労省のやり方に地域住民らからは現場無視の暴挙との批判があがっている。(編集担当:森高龍二)