海外経済の減速感が高まる中、消費増税もあり今後の景気の動向が注目される。現在のところ、実績においては国内経済の諸指標は良好な数字を示しているものの、先行き見通しについては悲観的なデータも少なからず出てきている。
人材サービス業のタイズが9月上旬、メーカー企業で働くエンジニア418名に「景気の動向」についてアンケート調査を実施し、同月25日にその集計結果を公表している。
集計結果によると「国内景気は今後どのように変化していくと思うか」という質問に対して、「拡大」と答えた者の割合は6.2%、「横ばい」40.7%、「後退」が52.6%、「その他」0.5%という結果だった。「後退」が半数を超え最多であったというものの4割が「横ばい」で約半数が「拡大」か「横ばい」と回答しており、意外にも景気の先行きに関してはそれほど悲観してはいないようだ。
「景気の影響を受けて社内で変化したこと」に関して聞いた結果では、「変化なし」が45.9%で最も多く、次いで「業績の悪化」26.3%、「待遇・ボーナスへの影響」18.9%、「目標修正」15.8%、「投資予算減少」12.2%、「採用ストップ」5.3%と続いている。ここでも約半数が減速感のある影響を受け、半数が影響を受けていないという結果になっている。
自由記述欄で「拡大」、「横ばい」、「後退」とそれぞれ回答した理由をみると、「拡大」と回答した者では「五輪があるから」、「東京五輪で日本への渡航者が増えるから」などとなっており、来年の東京五輪が景気動向に好影響を与えるのではないかという意見が目立つ。
「横ばい」では「外的要因はあるが雇用が安定しているから底堅い経済状況が続く」、「米中貿易摩擦などで外需は発展する要素は期待できない。内需も消費税増税でデフレ傾向が続くと思われるため。後退もしないが拡大もしない」などで過去の経験から外的要因や増税はさほど大きな影響は与えないという意見が目だった。
「後退」では「消費税を増税することによって以前よりも購買意欲が下がる」、「不景気が報道され続けている。所得が増えず、財布の紐はかたくなる」などとなっており消費増税や報道のあり方が悪影響を及ぼすという意見が多く見られた。
レポートでは「景気の状況を見越して、そこに左右されない経営をしている企業が決して少なくないことが伺い知れる」とまとめている。(編集担当:久保田雄城)