令和に入って初めての「お正月」がやってきた。昭和の時代は、家や会社の門前には門松が飾られ、三が日は国旗が掲揚されたりしたものだが、平成の後期ともなると、そんな光景はすっかり珍しくなってしまった。初詣の参拝に訪れる人も普段着の人が多く、昔のように和服に身を包んだ参拝客は、ほとんど見ない。伝統だけがすべてではないが、日本の正月が年々「特別」なものではなくなりつつあることに寂しさを感じてしまう。
昭和時代のお正月は、家族団らんの絶好の機会でもあった。家族揃ってお屠蘇を飲み、おせち料理や雑煮を食べる。昔は三が日に営業している店なんてほとんどなかったので、家で双六をしたり、凧揚げをしたり、正月ならではの家族のコミュニケーションも図れたものだ。年賀状も今やメールやSNSなどで済ませてしまう人が多くなった時代。令和時代のお正月は果たして、どのようになっていくのだろうか。
そんな中、時代に合わせてカタチを変えつつも、残っているお正月の風習もある。その一つが「書初め」だ。小中学校の授業だけでなく、企業のお正月の催しでも、書初めは人気のイベントの一つ。全国のイオンモール〈8905〉で毎年恒例で行われている「新春 書き初めをしよう!!」イベントなど、ショッピングモールなどでも毎年、多くの店舗で書初めイベントが催されており、家族連れで賑わっている。
また、令和の新しい書初めとしておススメしたいのが、積水ハウス〈1928〉とダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンが開催する「真っ暗の中の書初め」だ。
ダイアログ・イン・ザ・ダーク(以下、DID)は、視覚障がい者の案内により、完全に光を遮断した「純度100%の暗闇」の中で、視覚以外の様々な感覚やコミュニケーションを楽しむイベント。これまで世界41カ国以上で開催され、800万人を超える人々が体験しているソーシャル・エンターテイメントだ。日本では、1999年11月に初開催されて以来、寺院や廃校等様々な場所を利用して期間限定で開催されてきたが、2013年4月には、大阪駅前のグランフロント大阪に、積水ハウスとの共創で「対話のある家」をオープン。シーズンごとに体験内容を変えながら、開催している。また、昨年の秋には東京都新宿区の三井ガーデンホテル内にプレミアムクラスの施設として開業したほか、今年は東京浜松町に開業予定の複合施設 「ウォーターズ竹芝」内にもオープンする予定だ。
「真っ暗の中の書初め」は、大阪のDID「対話のある家」で、第28回新春プログラムとして、1月6日(月)から27日(月)までの期間で限定開催する。
一度でもDIDを体験したことがある人なら、きっとこの催しにワクワクしてしまうはず。DIDで体験する暗闇は、私たちが普段の生活で経験したことのあるような「暗さ」とは全く異なるものだ。目の前にかざした自分の手や指さえ、その存在があやふやになってしまうほどの、真っ暗闇。最初は恐怖や不安も感じるが、視覚障がいを持つスタッフの丁寧なアテンドを受けている内に、その暗闇の中で、人と人との温もりや優しさを、明かりのある空間以上に感じることができるようになる。約1時間ほどの体験時間が終わる頃には、他では味わったことのない満足感と解放感に包まれている。
実際、体験者が20,000人を超える「対話のある家」の体験者アンケートでも、86%の人が「また来たい」と回答しているという。
そんなDID「対話のある家」での体験を通して、SNSでのコミュニケーションが全盛の現代社会では感じられにくくなった人と人とのリアルな繋がりや絆を見つめ直すことができるのではないだろうか。令和初のお正月、ぜひ、家族一緒に体験してみて欲しい。(編集担当:藤原伊織)