横浜ベイシェラトンホテルで木のストローの提供開始。世界が注目する地産地消プロジェクト

2020年02月16日 11:46

木のストロー

アキュラホームが開発した木のストローと、その原料になるスライス材

 昔から、「魚は健康にいい」と教えられて育ってきた日本人は多いだろう。しかし、現代社会においては、それは必ずしも正しいとは言い難い。何故なら、魚たちの体内には大量のプラスチックが溜まっているかもしれないからだ。

 2016年にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラムにおいて「世界の海に漂うプラスチックごみの量が2050年までに重量換算で魚の量を超す」との予測が発表されて以来、海洋プラスチック問題は地球規模の関心事になっている。

 各国政府だけでなく、この問題に積極的に取り組む企業も増えてきた。スターバックスやマクドナルドが世界中の店舗でプラスチック製のストローを全廃する計画を発表したのは記憶に新しいが、日本でもプラスチック製のストローからの脱却に向けた動きが高まっている。

 2020年2月5日、横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズを訪れた客はおそらく、大きな衝撃を受けたのではないだろうか。この日、同ホテルで横浜市内のホテルとしては初めて「木のストロー」の提供が始まったからだ。

 仕掛けたのは、横浜市と ヨコハマSDGsデザインセンター、そして木のストローの開発者である、木造注文住宅業者の株式会社アキュラホームだ。三者は昨年11月、横浜市が保有する水源林の間伐材を原材料にし、横浜市内の特例子会社等で障がい者の方々が製作した「カンナ削りの木のストロー」SDGsストロー・ヨコハマを、横浜の地産地消モデルとして、連携して推進していくことを発表しており、今回はその第一弾となる。
 
 実は、この木のストローは、2019年に日本の各地で開催されたG20の全ての会合でも採用されたことで世界的にも注目されている。

 アキュラホームがこの木のストローを開発したのは2018年。環境ジャーナリストの竹田有里氏が豪雨の被災地を取材した際に「木のストロー」を発案。同社と共同で製品化に向けて動き出した。幾度となく協議や試作を重ねた末、大工職人の技術であるカンナ掛けの薄削りをヒントに、削り華を巻き上げることで木のストローの加工に成功。木造住宅を専門に手掛けるメーカーだからこそできたものだ。間引きした間伐材の利用を進めることで、結果的に森林を守り、CO2の排出も減らせる。その上、廃プラ問題や海洋プラスチック問題にも貢献するとなれば、注目されないはずはない。

 海洋プラスチック問題にしても、CO2排出量問題にしても、根本の原因は人々の無知と無関心にある。こういったプロジェクトが日本はもちろん、世界各国に広がることによって、世界レベルでの木のストローの地産地消が実現する事を期待したい。一人でも多くの人が地球環境の現状に目を向け、環境保全に対する意識が高まっていって欲しいものだ。(編集担当:藤原伊織)