総理の全小中高の臨時休業要請に疑問符

2020年03月01日 08:23

 安倍晋三総理は27日、新型コロナウイルス対策のため「全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について3月2日から春休みまで臨時休業を行うよう要請する」と要請した。

 安倍総理は「北海道では道内全ての公立小・中学校が休校に、千葉県市川市でも市内全ての公立学校が休校に入る。各地域において子どもたちへの感染拡大を防止する努力がなされているが、ここ1、2週間が極めて重要な時期だ」とし「政府としては、何よりも子どもたちの健康・安全を第一に考え、多くの子どもたちや教職員が日常的に長時間集まることによる感染リスクにあらかじめ備えるために臨時休校を要請する」とした。

 また「行政機関や民間企業等におかれては休みが取りやすくなる環境を整えていただくとともに、子どもを持つ保護者の方々への配慮をお願いする。こうした措置に伴って生じる様々な課題に対しては政府として責任をもって対応していく」と語った。

 この対応に政府として責任をもって対応するとしながら、具体策が示されていないなど、批判が出ている。

 菅直人元総理は「休校するには準備しておくべきことがたくさんあるはず。安倍総理は対応の遅さを批判され、急遽準備もなく対策を発表しているように見える。リーダとして最悪」。前川喜平元文科事務次官は「首相は何の権限があって『休校を要請』したのか?少なくとも首相には命令権も強制力もないのだから、各学校は唯々諾々と従うのではなく、それぞれが保護者とよく相談し、最善の措置を考えるべき。任意登校という方法もある」とツイッターで発信。

 れいわ新選組の山本太郎代表(前参院議員)は「保育所を含めないのは企業、労働者などに対して休業への損失補填は行わないという裏宣言だな」と発信。日本共産党の志位和夫委員長は「イベント自粛要請に続き、全国小中高休校要請。共通しているのは『説明ぬき』ということ。なぜ全国一律か? なぜ方針を変えたのか? 子を抱える親の仕事は? 国が責任を負うというが具体的には?  首相は『対策会議』での一方的発言でなく、国民に面と向かって、現状と展望を説明すべき」と求めている。

 また志位委員長は「来年度予算案は新型コロナウイルス対策の予算が1円も計上されておらず、このまま通すわけにいかない。検査体制確立、重症者ケアなど医療体制拡充、中小企業などへの支援など、抜本的な予算措置をとらなければならない。野党として来年度予算案への抜本的な組み換え案を提起していきたい」との考えを示している。(編集担当:森高龍二)