今年、20周年を迎えるクリエイターの祭典「rooms」が、2月20日から22日の3日間に渡り、代々木第一体育館にて開催され、盛況のうちに幕を閉じた。記念すべき40回目の「rooms40」は550ものブランドが出展し、20500人もの観客を動員した。
2000年にアッシュ・ペー・フランス株式会社が、クリエイティブシーンの活性化を目的にスタートさせたrooms。初開催当時は、わずか12ブランドの出展しかなかったという。その後、年2回過去39回の開催を経て、今やファッション・ライフスタイル・アート・パフォーマンス・飲食など、あらゆるジャンルから1万組以上のクリエイターが参加する、日本最大級のキュレーションイベントに成長した。roomsの人気の秘密であり、最大の特長でもあるのは、その世界観だ。来場者たちは無機質な展示ブースではなく、各々のクリエイターが創造した個性的な「部屋=room」を訪れる。そこで生まれた共感や感動を共有することで、新たなコミュニティやビジネスへとつながっていくという仕組みだ。もちろん、ビジネスが目的でなくても構わない。おしゃれで驚きに満ちた、クリエイターたちのroomsを見て回るだけでも楽しいし、創作意欲や遊び心を触発される。
今回の「rooms」も、いつもにも増してバラエティに富んでいたが、中でも異彩を放っていたのが、株式会社アキュラホームのroomだ。アキュラホームの事業は木造注文住宅メーカーだが、実は同社は今、全く違う分野の取組みで世界的な注目を集めている。その取組みとは、環境にやさしい「ストロー」の普及活動。ただし、普通のストローではなく、大工仕事の伝統的な技法であるカンナ削りの技術を応用した「木のストロー」なのだ。昨年開催されたG20大阪サミットや全ての関係閣僚会合でも採用されたことで一躍、世界中から注目を集めることになった、この木のストローは、世界的に問題となっている海洋問題、森林保全の問題、資源、雇用問題に至る幅広い分野に対して、解決する糸口となるサステナブルなアイテムであるのはさることながら、見た目の美しさ、使い勝手の良さでも高い評価を受けている。
そんなアキュラホームのroomでは、大工の棟梁が登場し、カンナ削り体験や木のストローづくりワークショップを実施。300名を超える人たちが貴重な体験に笑顔をほころばせ、賑わっていた。
今回、アキュラホームと同じETHICALエリアでroomを構えていた「kikirico」も面白い。kikiricoは
長崎県の小さな離島、壱岐の島出身のデザイナーによるアクセサリーブランドだ。しかし、ただのおしゃれなアクセサリーではない。壱岐の島の魅力ある様々な自然物、たとえばバロックパールや貝殻、鉱石、さらには海岸に落ちていたガラス片・シーグラスや飲食店で出たアワビの殻を使用したものまで、「再生」や「エシカル」をテーマにしたユニークでハイセンスなアクセサリーブランドなのだ。
また、 テレビ朝日系「報道ステーション」のフラワーデコレーションなどで知られる、フラワーアーティストの松井達彦氏によって創造された、水面から生命が湧き上がっていくイメージを表現した空間装飾も見事だった。植物だけでなくモニターで水辺を表現するなど、生花とテクノロジーを融合した圧巻の演出で来場者たちを驚かせていた。
次回の「rooms41」は秋。9月3日から5日の3日間、東京西新宿の新宿住友ビル三角広場にて開催される予定だ。また次もどんなクリエイティブな作品と出会えるか、今から楽しみだ。(編集担当:藤原伊織)