検察庁法改正で検察が政権に忖度するようになる

2020年04月21日 06:21

 裁判所令状のないGPS捜査は違法と最高裁の判断を勝ち取った亀石倫子弁護士が、新型コロナウイルス感染症防止で全国に非常事態宣言が出ている中、時の政府による検察への介入につながる「検察庁法改正案」が国会で審議入りしていることに「非常事態だけに人々が色んなことを受け入れやすくなっている」と強い懸念を示し、ユーチューブで警鐘を鳴らしている。

 審議中の「検察庁法改正案」は検察官の定年を国家公務員などの定年に合わせ、段階的に65歳にする規定とともに1947年の「検察庁法」制定以降、認められてこなかった「検察官の定年延長を内閣ないし法務大臣の判断で認める規定」を盛り込んでいる。

 野党や検察官、元検察官、法曹界から、改正が行われれば検察幹部の人事権を政府が握ることになり、検察の独立性が脅かされると強い問題提起が行われている。

 亀石氏は「ロッキード事件やリクルート事件など政界の『汚職事件』があった時、検察が政治家の刑事事件を追及した。しかし、法改正がなされれば『検察幹部人事に反映される』ため、検察はいつも政権の意向を伺う、忖度するようになってしまう」と政府による人事権掌握で検察が政治家に対する刑事事件に忖度する危険があると訴える。

 亀石氏は「森友・加計問題」「桜を見る会」などを事例に「政治家の刑事責任が取り沙汰されるようなことに対し、もみ消されてしまう恐れ」を提起。

 「簡単に法解釈を変えたり、いろんなルールを短い審議時間で作ったり、行政権(政府)が暴走することによって、私たちの日々の生活の自由や権利が脅かされる、簡単に『独裁化』が進んでいく」と危険性を世論に訴えている。

 法案を巡っては日本国際法律家協会、日本反核法律家協会、日本民主法律家協会、自由法曹団など法の専門家団体も撤回を強く求めている。(編集担当:森高龍二)