新型コロナ、賃金相場に影響。ベースアップ予定企業、2割に急減

2020年05月06日 15:18

画・新型コロナ、賃金相場に影響。ベースアップ予定企業、2割に急減。

東京商工リサーチが2020年度「賃上げアンケート」調査。「新型コロナウイルス」感染拡大の影響で賃上げ予定する企業は72%、8割を割る

 新型コロナウイルス感染症対策は長期戦の様相を呈してきた。自粛要請の長期化は経済活動抑制の長期化を意味し、企業の先行きに関する見通しをより悲観的なものにさせる。悲観的な見通しは当然雇用や賃金の抑制に直結する。感染状況の改善が見られない中で既に賃上げを取りやめる企業も増加してきているようだ。

 20日に東京商工リサーチが2020年度「賃上げアンケート」の調査結果を公表している。これは東京商工リサーチが3月27日から4月5日にインターネットを通じ調査を行い全国1万6175社から回答を得た結果だ。

 調査結果によれば、賃上げを予定する企業は1万1668社で回答企業全体の72.1%となる。これは前年度実績の80.9%から8.8ポイント下落したことになり過去5年でみると初めて8割を割り込んで最低となった。

 賃上げ予定の企業数と構成比を規模別にみると、資本金1億円以上の大企業が2605社のうち2144社、構成比82.3%となっているのに対し、資本金1億円未満および個人企業等の中小・零細企業では1万3570社のうち9524社で構成比は70.1%と低くなっている。昨年度の実績を見ると、大企業は81.5%、中小企業では80.8%となっており大企業は0.8ポイント増加している一方で、中小企業は10.7ポイントの大幅な下落となっている。コロナ危機が中小企業により大きな打撃を与え企業の規模格差が広がっているようだ。

 賃上げ予定の1万1668社の「賃上げ内容」について見ると、「定期昇給のみ」が6735社、構成比57.7%で最多となっている。次いで「定期昇給とベースアップ」の双方を予定しているのは1897社、16.3%、「ベースアップのみを予定」1052社、9.0%、「定期昇給と賞与(一時金)の増額を予定」は873社、7.5%、「賞与の増額のみを予定」499社、4.3%、「定期昇給、ベースアップと賞与の増額を予定」は359社、3.1%、「ベースアップと賞与の増額を予定」253社、2.2%となっている。「ベースアップ」予定の企業の構成比を合計したものは、前年度実績の42.0%から30.5%と大きく減少している。

 企業全体の中のベースアップ予定企業の比率を計算すると22.0%で、昨年実績の34.0%と比べ12ポイントの大幅な減少となっている。早期の終息と中小企業への手厚い補助が望まれる。(編集担当:久保田雄城)