新型肺炎、医療機関の役割分担を。医療スタッフ不足は一部に集中。8割で資材不足

2020年05月08日 04:45

画・新型肺炎、医療機関の役割分担を。医療スタッフ不足は一部に集中。8割で資材不足。

eヘルスケアが医師会員に「第2回新型肺炎についての緊急アンケート」

 緊急事態宣言が5月31日まで延期されることになった。日本集中治療医学会が公表している全国でのCOVID-19重症者に対する人工呼吸器装着数の推移をみると4月27日の315件をピークに減少傾向に反転しているものの未だ250件を超える水準で推移しており、医療逼迫の状況が解消されたとは言えないようだ。

 医療現場での現況に関し、医療機関検索サイトを運営するeヘルスケアが登録会員の医師522名を対象として「第2回新型コロナウイルス(新型肺炎)についての緊急アンケート」を4月下旬に実施し、同28日にその集計結果を公表している。

 集計結果によると、医療スタッフの不足について聞いた結果では「全く十分ではない」9%と「あまり十分でない」25%の合計が34%となり、3月の同調査の23%と比べ11ポイント悪化している。100床以上の中規模以上の病院に勤務する医師では「十分でない」との回答が44%であるのに対し100床未満の診療所・小規模病院勤務医での「十分でない」は25%で、逆に「十分だと思う」が44%と多数派になっている。医療スタッフ不足は中規模以上の病院など一部の医療機関に集中している状況のようだ。

 感染症の診療に必要な資材については、「足りていない」との回答が78%と3月調査の61%から17ポイントも上昇している。診療所・小規模病院では「全く足りていない」が45%と半数近くに達し「あまり足りていない」33%を合わせると78%となる。中規模以上の病院でも「全く足りていない」32%、「あまり足りていない」45%で合計77%となっている。

 医療資源の偏在を解決するための対策について自由回答欄を見ると、「開業医やリタイアした医師など地域の医師に協力要請」などマンパワーの強化を訴える声が多い。また、「重症度による医療機関の棲み分け」、「病院間の機能分担を明確にする」、「地域での役割分担の再編成」など「医療機関の役割分担の明確化、再編成」を求める声も目立つ。さらに「新型コロナ感染症を診察する専門病院を作るべきだと思う」、「感染症専門外来を各所につくる必要がある」など「感染症専門の医療機関や外来の設置」を挙げる者も多い。その他「病院の垣根を超えたコロナ対策本部の設置(情報・物流の統制)」などが挙げられている。

 現場の医師達は地域の医療が病院の機能ごとに再編・組織化されていないことがマンパワーの偏在とリソース不足を生じさせていると考えているようだ。(編集担当:久保田雄城)