現在、新型コロナウイルスのパンデミックで世界的に経済が混乱・停滞している。ハーバード大学の発表した予測によれば新型コロナウイルス感染症による社会の混乱は2022年まで続くという。日本においても毎日のようにコロナ関連倒産が多数発生している。
こうした混乱と停滞の時代に企業はいかなる行動を取るべきか。11日、アメリカに本部を置くグローバルITコンサルタント企業のガートナーが「新型コロナウイルス感染症拡大の中、財務面で生き残りを図るためにCIOが取るべき8つのアクション」を発表した。
ガートナーは新型コロナパンデミックの中で生じる財務的な影響の多くをIT部門が実感することになるであろうと指摘する。パンデミックの中でCIO(IT担当役員)は、IT部門のキャッシュフローを保護または「隔離」するために次の8つのアクションを取るべきだとしている。
(1)「重要度の低い支出を保留」。現時点で支払っている、あるいは支払うことが決まっている支出のどの領域を延期、排除、変更できるかを直ちに規定すべき。
(2)「支出増加を見越す」。オフィス型からリモート・ワーク型に切り替えるために増加する端末購入やソフト、通信コストなどの増加を見越す。
(3)「現時点の支出の割合を削減」。ビジネス部門と連携して要件ごとの優先順位を見直す。
(4)「既存の全投資を評価」。最重要と最重要でないプロジェクトに分け最重要でないものは即座に中断する。
(5)「新規支出を全て延期」。プロジェクト・人員・資産・アップグレードに関し支払いが始まっていないものは全て延期にする。
(6)「既存の全支出を再評価」。組織全体の全てのポートフォリオについて可能な限りサービスレベルを下げる精査をする。
(7)「利用量削減に向けた交渉」。ビジネス部門にサービスの解約を交渉、固定費を減らす。
(8)「代替財務アプローチの調査」。政府や業界の補助金を調査。
ガートナーのシニア ディレクターであるクリス・ガンリー氏は「経営幹部が2020年に優先すべきは『成長』ではなく『生き残り』だ。生き残れるかどうかはテクノロジを使って革新性を保ちながらキャッシュフローと収益を維持できるか否かで決まる。行動を起こさなければ企業はこの混乱の中を生き残れないかもしれない」と述べている。(編集担当:久保田雄城)