改正有給休暇・労基法。認知率4割。バイト・パートへの付与率5割

2020年06月18日 06:57

画・改正有給休暇・労基法。認知率4割。バイト・パートへの付与率5割

ディップが「有給休暇に関する労働基準法」の実態について意識調査

 ICT、AIの時代には流動的な労働市場が必要だ。機動的に適正な人材を適正なプロジェクトに配分するためには終身雇用・年功序列の日本型労務慣行をそのまま維持することは不可能であろう。フリーランスのような非正規雇用の労働者を増加させていかなければ日本の産業は新たな時代に対応できない。そうであれば、これまでのような正社員と非正規労働者の格差という問題は抜本的に是正されねばならない。

 一方で労働者の生活の安定と幸福追求も保証されねばならない。ワークライフバランスを実現するためには非正規労働者の労務上の権利を向上させていくことは必須だ。こうした観点から働き方改革の一環としてアルバイトやパート労働者にも年休の付与・取得を義務付ける改正労働基準法が2019年4月からスタートした。施行から1年以上が経ち、その運用実態や労働者の意識はどのように変ったであろうか。

 人材情報サービスのディップが昨年の10月から本年3月にかけて自社サイトのユーザー2572名を対象に実施した「はたらこねっとユーザーアンケート、『有給休暇取得について』」の集計結果を3日に公表している。

 レポートによれば、有給休暇に関する改正労働基準法の認知度は、「内容まで理解している」が39%、聞いたことはあるが「内容までは理解していない」が42%、「聞いたことがない」19%となっており、改正の存在を知っている者は8割を超えるものの内容まで把握しているものは4割にとどまった。

 パート・アルバイトの者に「有給休暇を付与されているか」と聞いた結果では、「付与されている」が51%、「対象ではあるが詳細を提示されていない」が18%、「付与される対象ではない」が31%となっている。アルバイト・パートのうち69%が有休付与の条件を満足しているにもかかわらず、実際に付与されているのはそのうちの7割程度に過ぎないようだ。

 「有休を取得しやすくなったか」という問いには「取得しやすい」が45%、「どちらかといえば取得しやすい」35%で両者合わせて80%が「取得しやすい」と答えており、正社員の同回答の70%よりも多くなっている。

 一部に「いつのまにか付与されており、具体的に話を聞いていないので取りにくい」という意見も見られるが、全体としては義務化によってアルバイト・パートの有休取得促進に効果がみられるといえよう。(編集担当:久保田雄城)