企業は常に自然災害やテロ等の突発的で事業継続を困難にさせる事態に遭遇するリスクを持っている。こうした事態に直面した時に損害を最小限にとどめ事業の再開を早急に行えるよう平時から有限の企業資源を迅速・適切に活用する手続きについて取り決めておくプログラムがBCP(事業継続計画)だ。昨年2019年は自然災害が多く発生したためか、主にこれを想定したBCP策定を行う企業が増加傾向のようだが、帝国データバンクの5月調査ではリスクとして感染症を想定する企業が急増しているようだ。
帝国データバンクは5月18日から31日にかけ全国2万3675社に対して「事業継続計画(BCP)に対する企業の見解」について調査を実施、1万1979社から有効回答を得て、11日その集計レポートを公表している。
レポートによれば、5月時点でBCPを「策定している」企業は16.6%にとどまっている。「策定中」、「策定を検討」を合わせると52.9%になる。これを昨年5月の45.5%と比べると7.4ポイントもの増加だ。18年5月は44.9%だったので19年から20年にかけて企業のBCPに対する意識が大きく向上したと言える。
企業規模別に見ると、大企業で30.8%、中小企業で13.6%、小規模企業で7.9%が「策定している」と回答しており、規模の大きな企業ほど策定率が高い。業種別に見ると、「金融」が42.1%でトップとなっており、次いで「農林水産」の28.6%、「製造」19.6%、「サービス」18.6%と続いている。「BCP策定意向」を都道府県別にみると、「高知」が 79.2%でトップ、その他、大地震の発生が予想される地域でBCP策定に積極的である傾向が高いようだ。
「策定意向あり」企業に「どのようなリスクを想定しているか」を複数回答で尋ねた結果では、「自然災害」が70.9%と昨年と同様にトップであった。これに次ぐ想定リスクは「感染症」の69.2%と「自然災害」と同レベルの7割に達し、昨年5月の24.9%から44.3ポイント増加と急増している。また、「取引先の倒産」も39.0%と昨年の30.3%から8.7ポイント増加している。レポートでは「新型コロナウイルス関連倒産が増加するなかで、事業継続リスクとして上位にあがっているとみられる」としている。(編集担当:久保田雄城)