AIやビッグデータ、アナリティクスなど新たな情報処理技法の進化とともに企業戦略構築のあり方も高度化している。投資戦略は広域な専門的分野を結合しなければならず、その中で経営者は専門性の高い多部門のビジネスを連携させるスキルを持たねばならない。
世界の経営層は今、新たなグローバル競争の中で生き残るため「競争のためのコラボレーションの構築」に向けて組織の刷新を加速させている。こうしたグローバルなビジネス変容の中で日本の経営層はそのスキルと意識において大きく遅れをとっているようだ。
この点に関し5月28日、日本生産性本部が米国コンファレンスボードとともに実施した「世界経営幹部意識調査2020」をもとに日本の経営幹部の「競争に勝つ外部連携に対する意識」の現状と課題を分析したレポートを公表している。この調査は「競争に勝つコラボレーション」に関する経営幹部の意識について19年9~10月に行われたもので日本の経営層235名を含む世界45か国1520名の経営幹部から回答を得たものだ。
レポートの分析によれば、日本の経営層の「外部組織とのコラボレーション」についての自信度は世界と比較して低いものとなっている。特に低いものをピックアップすると、「従業員にコラボレーション創出に必要なスキルと心構えがある」が10点満点で世界平均が6.4であるのに対して日本は5.1となっている。「コラボレーション強化に向けて業務や組織の本質を再設計するための専門知識、勇気やコミットメントを持ち合わせている」では世界が6.7に対して日本は5.6、「コラボレーションを成功させる取り組みを奨励し評価する効果的な報酬制度がある」では世界は5.6に対して日本はわずか3.4となっている。やはり日本では人事・労務面での脆弱性が目立つ。
現在までのコラボレーションに関する取り組みに関して質問した結果では、「関連産業セクター、大学、シンクタンク、スタートアップ、政府などの非従来型パートナーとのコラボレーションに関する取り組み状況」に関し、「存在しない」との回答は世界平均では18%のみであるのに対して日本では45%と半数近くにまで達している。「現在試行中である」との回答は世界が36%、日本が26%とやはり日本では消極的だ。
レポートは「日本は世界と比較してコラボレーションに関する自信度が低く、取り組みも遅れ気味」の傾向がみられると評価している。(編集担当:久保田雄城)