インターネット上での誹謗中傷から被害者を救済する対応を軸に検討している総務省の有識者会議は10日、ネット上に投稿した投稿者の開示手続きを簡素化することで被害者の負担を軽減するための中間とりまとめを行った。11月に最終案を取りまとめる。
特に、有識者会議は「中間取りまとめを踏まえ、発信者情報の開示対象の追加については、まず『電話番号』を開示対象に追加するため、迅速に関係省令の改正を行うことが適当」とした。
また「省令改正に関し円滑な運用が行われるよう『電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン』(総務省告示)の解説を改訂することが適当」としている。
「ログイン時情報」についても「開示対象となるログイン時情報及び請求の相手方となる開示関係役務提供者の範囲を明確化する観点から、省令改正ほか、必要に応じて法改正によって対応を図ることも視野に入れ、具体化を進めていくことが適当」と提言している。
ネット上の誹謗中傷が原因で自殺に追い込まれるケースも出ている。しかし「投稿時のIPアドレス等が記録・保存しないコンテンツプロバイダが出現しており、投稿時のIPアドレスから通信経路を辿ることで発信者を特定するということができない場合が生じる」など、発信者を特定できない場面が増えているという。
また「権利侵害が明白と思われる場合でも発信者情報がプロバイダから裁判外で(任意に)開示されることは多くない」ため、裁判に訴えるほかなく、費用と時間がかかり、被害者の負担になっている。
このため、有識者会議は発信者情報の開示対象を拡大することや「電話番号」について「発信者特定に合理的に有用」とし「開示対象として総務省令に追加することが適当」とした。「電話番号」は「携帯電話番号、固定電話番号ともに対象」とした。(編集担当:森高龍二)