国土交通省と中小企業庁は建設工事の下請け取引の適正化をはかるため、3日、実態調査に入った。今年は対象を昨年より4000業者増やし1万8000業者にしている。調査期間は9月11日まで。
対象にしたのは大臣許可業者2250業者と知事許可の1万5750業者。調査では(1)下請負人との見積方法の状況(2)下請契約の締結方法の状況(3)下請代金の支払期間・支払い方法の状況(4)発注者による元請負人へのしわ寄せの状況(5)元請負人による下請負人へのしわ寄せの状況(6)消費税の転嫁に関する状況(7)技能労働者への賃金支払状況など。
元請負人と下請負人の取引に関しては元請負人と1次下請との間の取引のみではなく、2次と3次、3次と4次等の取引も含めて調査する。
調査の結果、建設業法令違反行為等を行っている建設業者に対して指導票を送付し、是正措置を講ずるほか、未回答業者や建設業法令違反等があり、特に必要がある場合には許可行政庁による立入検査等の端緒情報として活用するとしている。
昨年度の調査では下請け契約時に工事ごとに請負契約書を相互に交付する必要があるが、知事・一般建設業者では18.4%が「メモや口頭」のみの契約だったほか、8.1%が「注文書の一方的送付」になっていたことがわかった。
また下請け業者として受注した7868業者のうち105業者は「不当なしわ寄せを受けたことがある」と回答。しわ寄せの内容は「代金不払い」「指値による契約」「見積が全く考慮されなかった」「やり直し工事の強制や一方的な費用負担」などをあげた。なかには「消費税の転嫁拒否」もあった。(編集担当:森高龍二)