日本でも見られるようになったBEV(バッテリー式電気自動車)バスであるが、日本のBEV導入は世界の中では遅れをとっているようだ。世界の国々ではゼロエミッション(環境を汚染する廃棄物をゼロにする)対策が積極的に行われており、都市部での路線バスを積極的にBEVへ置き換えているところが多い。
日本ではなかなかBEV化が進まないと言われるが、その理由の一つに日本のバスメーカーがBEVにあまり興味を示さないと言うこともあるらしい。その背景には内燃機関の製造には多くの部品が必要であり、かかわる多くの部品メーカーやそこで働く人の雇用を守るためということがある。つまり日本でBEV導入が消極的なのは既存産業での雇用の維持というのが障壁になっているという事情にありそうだ。このため日本国内では中国系BEVバスの導入も積極的に行っているバス会社も見られる。
7日に市場調査業のグローバルインフォメーションが市場調査レポート「電気・ハイブリッド・燃料電池バスの世界市場:2021-2040年」を刊行し、その内容の一部を公表している。
世界のバス市場は急速に進化しているようだ。世界各国で大気汚染改善の必要性に迫られている中で政府による気候変動への取り組みが路上排出ガスゼロのシティバスの導入を後押ししているかっこうのようだ。レポートでは「今後10年間に、大都市は市民の健康を守るためのゼロエミッションゾーンの実現に向け、ゼロエミッションバス以外のバスの購入を拒否するケースが増えると予想される」としている。
ゼロミッションバスの技術としては主にBEVバスが中心となっており、PHEV(プラグインハイブリッド)は急速に市場シェアを落としており、注目を集めている燃料電池FCEV(パワートレイン)に関してはコスト面でBEVとの競争力に劣りごく一部の市場にとどまっている。
ベルギーで開催された2019年バスワールド会議では未だに大手企業がディーゼルバスを推進していたため、かつてのバスリーダーであるダイムラーなどが市場シェアを急速に失っている。10年には全ての新型バスに内燃エンジンが搭載されていたが20年後には少数派になる事は確実のようだ。
こうした動向からレポートでは「バッテリー式電気バスの市場は2030年には250億ドルの市場に成長すると予測」されると結論づけている。(編集担当:久保田雄城)