時の政府政策に学術的見地から批判的見解や意見を述べると学術的に優れた成果を上げた人物であって日本学術会議の総会承認を得て推薦された人物であっても、総理の意向で任命されない最悪前例が正当化される危機的状況が生まれた。
菅義偉総理が日本学術会議法に基づいて日本学術会議から推薦された会員候補のうち、安保法制や共謀罪に問題提起していた学者らを任命しなかったためだ。推薦を無視し任命しなかった前例はない。推薦されながら任命されなかった人物は6人とされ、今回の事案は明らかに「学問の自由」への政治介入で、学術・研究活動に圧力をかける結果になる。
野党はじめ国民からも菅総理の対応に強い非難の声が上がり始めた。立憲民主党の安住淳国対委員長は「考え方や法案に対する賛否は、学術会議のメンバーを選ぶときの考慮対象にしてはならない。政治的意図を持って(拒否して)いたとすれば、看過できない」と、国会で「徹底追及する」とし、総理の行為を重大視した。
日本共産党の志位和夫委員長もツイッターで「加藤官房長官は『人事等を通じて一定の監督権を行使することは法律上可能』と居直った。ウソを言ってはいけない。一体、日本学術会議法のどこに「監督権」などが書かれているのか。官僚に続き、科学者を口封じし、学術会議を口封じする、ファッショ的暴挙を、絶対に許してはならない」とアピール。
また「政府は、会員公選制を推薦制に変えた日本学術会議法改正を行った国会で、『学会から推薦していただいたものは拒否しない。形だけの任命』(総理府総務長官)と説明していた」ことも紹介。
そのうえで「日本学術会議には『高度の自主性』が与えられており、『推薦者は拒否しない』ことは政府も答弁してきたこと。憲法23条の『学問の自由』に反する違憲・違法の任命拒否の撤回を求める!」と強く撤回を要求した。(編集担当:森高龍二)