新型コロナ感染症の流行は人々の生活様式を大きく変えた。その一つがテレワークや自粛生活による在宅時間の長期化だ。そうした環境の変化からも住宅の快適さも重視され、また、感染予防の観点からもエレベータなどの共用部分のある集合住宅を避け非都市部や郊外の一戸建て志向も増加しているようだ。
16日に、矢野経済研究所、戸建て住宅市場に関する調査結果を公表している。これによれば、ウィズコロナをはじめとするニューノーマル時代を見据える戸建て住宅需要が形成され、これを受け供給側からの間取りや内装、設備などハウスメーカーにおける商品提案が大きく変化してきているようだ。
2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済全体の消費マインドの低迷のほか、ハウスメーカーによる住宅展示場での営業や販促イベントなどが制限されたこと等の影響から、戸建て住宅市場の縮小は避けられない見通しになっている。
こうした動向への対応として各メーカーもコロナ時代の需要開拓に向けた様々な提案を試みているようだ。リモートワークの普及や在宅時間増加などから「戸建て住宅」に対する市場ニーズの変化がみられ、今後の感染状況の推移にもよるが、市場の底は脱していくと見られている。
メーカーのコロナ禍における提案アイテムとしては、テレワークや在宅ワークスペースの確保や、換気・空調システムによる空気清浄、在宅時間増加に伴う光熱費の上昇を抑制する2重サッシ等の省エネ性の高い設備、外から室内にウイルスを持ち込ませない間取りの工夫などが挙げられる。
従来からの職場や都心へのアクセスの良さといった利便性に対するニーズがあったものの、コロナ禍でリモートワークの普及による在宅時間の長期化から、広さや快適性を求めるために郊外へ戸建て住宅を求めるニーズも増加している。
ハウスビルダーが供給する建売住宅は手頃な価格帯ということもあり、既に販売増加につながっている傾向もみられるようだ。新型コロナの終息のあり方は未だ不透明だが、働き方改革とも相まって、在宅時間での快適さを重視する傾向が今後伸びることは間違いない。こうした中で各ハウスメーカーもアフターコロナを意識した商品開発、販売戦略にシフトし始めているようだ。(編集担当:久保田雄城)