新型コロナウイルスに翻弄された2020年。12月15日に京都の清水寺が発表した今年の世相を表す漢字は「密」だった。折しも、感染第三波が日本中を席巻している最中。年を越しても、まだまだ当分の間は「密」を避ける生活が続きそうだ。
しかし、これだけ「密」を避けるように生活しているにも拘わらず、感染はどうして収まらないのか。緊急事態宣言が解除されたあと、感染拡大が一時的に鎮静化傾向になったことや、Go Toキャンペーンなどの影響もあるだろう。でも、Go To利用者も、参加している店舗や企業なども、感染防止には細心の注意を払っていたはずだ。
各省庁などが発表している感染情報をまとめてみると、感染場所として最も確率が高いのは、実は家庭内だという。次いでオフィスや職場となっており、飲食店やレジャー施設などでの感染はそのあとに続く。ニュースや報道などの印象で、外出やレジャーが感染の元凶のように思われがちだが、実はそうとばかりもいえないようだ。感染拡大を防ぐには、外だけではなく、家庭内でも注意した方がよさそうだ。
家庭内で感染が拡大している大きな理由は「換気」にあると考えられる。
換気の重要性は、国や専門家などからも注意喚起され、メディアでも再三にわたって取り上げられてはいるが、実際に自宅で定期的な換気を心掛けている家庭が一体、どれだけあるだろうか。とくに暑かったり寒かったり、外との寒暖差があるような場合、窓を開けて小まめに換気するのは気がひけてしまう。家族なんだから大丈夫だろう・・・・・と、根拠のない言い訳が先に立ってしまう。どうやらこれが、感染拡大の一つの原因になっているようだ。
室内の空気を清浄に保つ、効率の良い住宅換気の方法はないものだろうか。
12月14日、これらの課題に対応するべく、大手住宅メーカーの積水ハウスが次世代室内環境システム「SMART-ECS(スマート イクス)」を発売した。
同社の「住生活研究所」の調査によると、コロナ以降はとくに、生活者やその家族の健康に対する意識が高まっており、家の中の空気の大切さや、室内の空気がキレイであってほしいと願う人が90%以上に上ることが分かった。また、空気をキレイにするために「窓を開けたい」と思っている人が60%近くに上る一方で、花粉やP.M.2.5などの空気汚染物質の侵入や、防犯上の不安、さらには音漏れなどが気になって、「窓を開けずに済むのが理想的」と考えている人が65%近くになることがわかったという。
「SMART-ECS」ではまず、リビングなどの家族が主に使う生活空間が風上になり、玄関や廊下などの非生活空間が風下になるよう、空気の流れを設計することで、商業施設で求められる高い換気量を住宅全体で確保することに成功した。これにより、家族の集まるリビングや居室には、ウイルスや汚染物質が侵入しにくく、たとえ侵入しても室外に追い出しやすくなるのだ。
熱交換型換気システムを用いることで、排気や吸気による熱損失を約80%抑制することにも成功している。例えば、室内温度が20℃、外気が0℃のような寒い日でも、熱交換型換気を通して吸気された空気は、室内から排気される空気と約80%で温度交換され、室温に近い16℃で入ってくるというわけだ。
そして、天井付空気清浄機を24時間換気と併用することで、微細な汚染物質なども、従来の換気システムに比べて約2~5倍ものスピードでキレイにしてくれる。これらを併用することにより、窓を開けて換気をしなくても、部屋の空気はいつもキレイに保てるというわけだ。
さらに、リビングに入る前にコートなどを掛けたり、手洗いなどが済ませられる「チェンジングルーム」や、一般住宅では珍しい自動ドアをはじめとするタッチレス設備も提案。来年4月以降からは、これらに加えて住宅業界初のCAD連携した邸別の換気シミュレーションを顧客ごとに実施することで、キレイな空気の広がりを可視化するサービスも開始する予定だという。
コロナ禍はもちろん、これからの社会でも、家庭内換気の重要性は高くなるだろう。コロナだけではなく、インフルエンザやPM2.5、花粉などの対策のためにも、一度、家庭内での換気のあり方を見直してみてはいかがだろうか。(編集担当・藤原伊織)