新型コロナウイルス感染症の抑止に関する規制が全面解除されてから1カ月近くが経過する。都道府県間移動の自粛もなくなり制度的には通常の生活に戻ったと言える。
新型コロナの影響でオリンピックが延期となり、またインバウンド需要が蒸発したことから宿泊業や旅客運輸業などの観光業事業者は苦しい経営環境にある。そこで政府はGoToキャンペーンを実施することで国内旅行の促進を図っているが、東京での陽性判明者の増加などもあり、国民は未だ新型コロナ感染に関する警戒感を十分にぬぐい去っていないようだ。
マーケティング・コンサルタント業のバルクが7月の上旬に20~60代の男女400人を対象に「国内宿泊旅行の予定と安心して宿泊できるサービス」について調査を実施、その集計レポートを17日に公表している。
レポートによれば、「7月以降に宿泊をともなう国内旅行に行く予定はあるか」と聞いた結果では、「7月~8月に行く予定」と答えた者の割合は8.5%のみで、「9月~10月に行く予定」は7.0%、「11月~12月に行く予定」2.5%で、予定があると答えた者の合計は18.0%と2割以下にとどまった。最も多い回答は「今年は国内旅行に行く予定はない」の58.5%と6割近くにまで達しており、「わからない」が23.5%となっている。夏休みの「7月~8月」でも8.8%のみで、やはり未だコロナウイルス感染を心配して旅行に出かけるというムードではないようだ。
「安心して国内での宿泊旅行ができるための宿泊プランや宿泊サービス」について50項目から選択してもらった結果では、「食事は個室で提供」と「清掃をきちんとしているが」がともに32.3%とトップで、次いで「館内全体で換気している」が28.0%、「部屋に広いお風呂か露天風呂がついている」25.0%、「全室、空気清浄機の設置」21.5%、「従業員のマスクやフェイスシールドの着用」20.5%、「スリッパや寝巻きなどは使い捨て」、「除菌スプレーが置いてあり、使用するものは除菌処理されていることが確認できる」がそれぞれ18.0%などと続いており、やはり新型コロナ感染を警戒し、なるべく不特定多数と合わず三密を避けるような工夫を宿泊施設に求めているようだ。
旅行や宿泊に関して感染を抑止する工夫をして、安全なイメージを作り出すことが顧客の回帰には重要なようだ。(編集担当:久保田雄城)