政府はマイナンバーカードを2023年度末までにほぼすべての国民に普及させたい意向だが、政府の恣意的利用や政府のより一元管理、情報漏洩への懸念から普及率は昨年11月25日時点でも22.8%にとどまっている。
こうした懸念は「社会保障にかかる資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会」でも示されていたことが、今月8日検討会がまとめた報告書でも明示されていた。
報告書は「国家により、個人の様々な個人情報がマイナンバーをキーに名寄せ・突合されて一元管理されるのではないか。マイナンバーを用いた個人情報の追跡・名寄せ・突合が行われ、集積・集約された個人情報が外部に漏えいするのではないかとの懸念が検討会においても示された」としている。
そのうえで、検討会は報告書で「制度面ではマイナンバー法において、法律の定めによるものを除き、特定個人情報の収集・保管、特定個人情報保護ファイルの作成を禁止し、法律に違反した場合の罰則が定められ(マイナンバー法第 48 条~第 57 条)、マイナポータルによる情報提供等記録の確認ができることになっている」と制度上の対策ができているとしている。
またシステム面でも「マイナンバーによる情報連携を行う際はマイナンバーを直接用いず、住民票コードを元に作成する暗号化された符号を利用している。符号については安全性を高めるため、同じ人の符号であっても、機関毎に異なる符号(機関別符号)を通知することとしている」とし「このような措置を講じることにより、マイナンバー制度の運用が開始されて以降、情報連携システムからの情報漏えいは確認されていない」とし「マイナンバーの提供を求める際には、こうした点について周知を図り、安心してマイナンバーの提供を行っていただけるようにすべき」とした。
しかし、安倍政権約8年間での森友・加計・桜、憲法・法令の政府都合による解釈変更、文書改ざん・隠ぺい・破棄などが影響し、政府への不信感からシステムや制度ができていたとしてもマイナンバーカード発行申請者が政府見込みほど増えていないのが実情。制度・システムがより安全なものに完璧に担保されるよう検討すると同時に政府に対する信頼回復を図らなければカード普及の政府目標達成は難しい状況といえそう。(編集担当:森高龍二)