1980年代に登場したリチウムイオン二次電池、ハイパワーかつ軽量であることからビデオカメラやノートパソコン、携帯電話に無くてはならないものとなった。xEV(各種電気自動車)が発展普及しようとしている現在、リチウムイオン二次電池はEV用バッテリーとして発展普及が期待されている。
1月22日、市場調査業の富士経済が、xEV用がけん引する「リチウムイオン二次電池の世界市場」の調査結果レポートを公表している。レポートによれば、2020年のリチウムイオン二次電池の世界市場規模は4兆7410億円で、前年比101.2%の微増となると見込まれている。
この内、xEV用は2兆5916億円で、全体の54.7%を占め、対前年比は99.4%とマイナス成長になっている。この他、小型民生用が1兆7154億円で、前年比は100.3%と横ばい、ESS/UPS/BTS用が4340億円、前年比が118.8%とシェアは小さいが高い伸びになっている。
xEV用については、20年はxEV自体の生産台数が低迷し、これに比例し微減するものの、各国がxEV普及の支援政策を打ち出していることから、21年以降市場は拡大に転じるとみられる。
中国では、xEVの補助金政策の終了が20年末に予定されEVやPHVの販売台数が減少傾向であったが、補助金政策の22年末までの延長が決定し、NEVにHVが追加されるなどNEV規制による低燃費車への優遇措置によりxEVの需要は回復傾向だ。
米国では、カリフォルニア州など排出ガスを出さないEVやFCVであるZEVの規制とEV購入に対する税額控除によりxEVの需要が増えている。欧州では、企業単位で販売車両のCO2の排出量平均値を算出し、定められた基準以下にすることが要求され、達成できない場合は米国と同様に罰則が存在し、このCO2排出規制ではxEVの車種は限定されないため、それぞれのメーカーが強みのある車種で比率を高めており、リチウムイオン二次電池の需要は拡大傾向だ。
また、TeslaなどによるEVの生産拡大や上記のような欧州の環境規制強化などを背景にxEV市場は拡大傾向で、これに伴いリチウムイオン二次電池の需要も大幅に増加しており、レポートでは23年には5兆円に達し、24年にはリチウムイオン二次電池市場全体では19年比2.0倍の9兆5203億円、xEV用のみで19年比2.6倍の6兆7403億円に達すると予測している。(編集担当:久保田雄城)