菅総理は昨年10月26日の所信表明演説で、成長戦略の柱として「経済と環境の好循環」を掲げ、「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロ」にすると発表し、21年度税制改正大綱や総合経済対策に「脱炭素」や「カーボンニュートラル」に関する項目が盛り込まれるなど企業への支援策などが積極的に打ち出している。すでに欧州をはじめ世界122の国と地域は「50年実質ゼロ」を目標に掲げており、日本も世界の潮流のスタートラインにやっと並んだ状況だ。
これに関連し、帝国データバンクが全国の企業をサンプルに実施した「温室効果ガス排出抑制に対する企業の意識調査」の結果レポートを1月19日に公表している。レポートによれば、「温室効果ガスの排出抑制に取り込んでいる」回答した企業の割合は82.6%で、8割超にのぼった。一方、「取り組んでいない」13.6%、「分からない」は3.8%となっている。
規模別にみると、大企業が88.8%で全体平均を大きく上回っている。中小企業では81.3%、小規模企業は 76.1%となり、企業の規模により大きな差があるようだ。業界別では、「製造」が87.1%で最も高く、次いで「金融」82.7%、「建設」82.6%など多くの業界で8割台となった。一方、最も低い「サービス業」でも78.6%と8割近くに達している。
実際に取り組んでいる内容について複数回答で聞いた結果では、節電や節水などによる「省エネ」が 43.0%で最も多く、次いで「クールビズの実施」42.6%や「ハイブリッド車、電気自動車の導入」28.0%、「廃棄物の抑制」22.2%などとなっており、政府が資金援助などを表明している、「環境に配慮した商品やサービス」は10.9%、太陽光や風力発電など「クリーンエネルギーの導入や切り替え」は10.6%にとどまっている。
「2050 年カーボンニュートラル」目標の達成可能性については、「達成は困難」が43.4%、「達成できない」が17.9%で合わせて61.3%と6割以上が達成実現に否定的だ。ちなみに「達成可能」は15.8%、「わからない」23.0%だ。
「排出抑制に対する取り組みの課題」を複数回答で聞いた結果では、「他に優先すべき項目がある」が27.4%で最も多く、次いで、「主導する人材(部署)がいない」26.9%や「どこまで取り組めばいいのかわからない」25.8%、「取り組むためのノウハウやスキルがない」24.5%、などが2割を超えており、人材、ノウハウ、スキルに課題があるようだ。(編集担当:久保田雄城)