コロナ禍でサステナビリティへの関心が高まる中、仏評価機関から上位に格付けされた日本企業は?

2021年01月31日 09:17

SDGs

コロナ禍の影響でサステナビリティへの関心が高まる中、仏の評価機関によって65000以上の企業のCSR活動が評価され、セイコーエプソンやローム、三井化学など、日本企業が上位に格付けされた。

 「SDGs(Sustainable Development Goals・持続可能な開発目標)」について、あなたはどんな印象を持っているだろうか。2015年9月に開催された国連サミットで国際社会共通の目標として定められて以来、ビジネスシーンを中心に「SDGs」や「サステナビリティ」という言葉をよく耳にするようになった。

 「SDGs」で掲げられた「17の目標」と「169のターゲット(具体目標)」は、世界をより良く成長させ、将来にわたって暮らしやすくするために非常に重要な約束だが、実際のところ、これまでは「国や企業が勝手にやっているもの」「大企業に任せておけばいい」「企業のイメージアップに使われるもの」というような、ネガティブで醒めた見方が大半を占めていた。ところが、世界中を混乱に貶めている新型コロナウイルス禍によって、社会的課題が自らの生活に直接、大きく関わってくることをようやく多くの人が自覚するようになり、 サステナビリティやSDGsへの関心が急激に高まっているという。

 日本のビジネスパーソン向けにサステナブルをテーマとした情報サイトを運営するグローバルコミュニティのサステナブル・ブランド ジャパンが昨年の4月に実施した「新型コロナウイルス対策に関するSB緊急アンケート」においても、65%もの人が「ポストコロナにおいて、サステナビリティの重視度は高まる」と回答している。

 これからの社会で「SDGs」や「サステナビリティ」がますます切り離せないものになるのは間違いないだろう。とくに企業においては、その取り組みの姿勢やCSR活動、CSV活動の評価が、企業自体の評価や業績にも大きく影響しかねない。それは悪い意味ではなく、社会や環境への価値提供を継続していくことで、将来的な利益になり得ることも期待できるため、企業と社会の双方にとって良い傾向だ。そして、そうした企業が社会に評価されるために重要なのが、インターネットサイトなどを利用した情報の開示だ。たとえサステナビリティなCSRやCSVに真摯に取り組んでいても、それを外に発信しないと、世間的には何も活動していないも同様だ。自社の取り組みの内容や経過、結果、をきちんと開示し、経験やノウハウなどを共有することによって、自社に還元されるだけでなく、社会全体のサスティナブルな活動を啓発し、盛り上げる効果もある。

 そんな企業の活動を後押しするように、サステナビリティ評価やCSR企業ランキング、さらにはCSRサイトのコンテンツの充実度を評価する取り組みもある。

 例えば、フランスに本社を置く、企業のサステナビリティに関する国際的な評価機関・EcoVadis(エコバディス)社は毎年、世界160ヶ国、200業種、65,000以上にわたる企業のCSR活動を「環境」「労働と人権」、「倫理」、「持続可能な資源調達」の4つの分野で評価している。昨年末に発表された2020年度の評価では、最高位「プラチナ」の称号をセイコーエプソンやオムロンが獲得。上位5%に与えられる「ゴールド」には、三井化学や電子部品メーカーのロームなどの日本企業が名を連ねている。

 ロームはさらに国内でも、一般社団法人CSRコミュニケーション協会によるサステナビリティ・ウェブサイトの情報充実度を評価する「サステナビリティサイト・アワード2021」において、評価対象となった全3863社の中から上位5社のみに贈られる最優秀賞「ゴールド」の称号を獲得している。ロームの他にゴールドに格付けされたのは、大和ハウス工業、積水ハウス、東ソー、日本碍子の4社で、いずれも「各情報が具体的かつ網羅的に開示されサイト自体の完成度が極めて高い」「各ステークホルダーの情報ニーズを満たす開示が十分に行われている」「他の企業のサイトの模範となる品質である」という要件を満たしていることが評価された。

 CSRやCSVはメリットがすぐに現れないため、古い体質の企業などでは未だに、CSRをコストで考えてしまうところも多いようだ。しかし、持続させるための取り組みが、経営を圧迫するというのは、そもそも矛盾している。長期的な事業の継続を考えれば、メリットの方が大きいはずだ。そうでないのなら、考え方かやり方、もしくはその両方が間違っているのかもしれない。もしも思い当たるのならば、ロームや大和ハウス工業など、評価の高い企業のサイトを訪れて、参考にしてみてはいかがだろうか。(編集担当:今井慎太郎)