新型コロナウイルス感染症の流行が始まってから1年が経つ。感染が広がりはじめ1度目の緊急事態宣言が発出された昨年春に経済は大きく落ち込んだ。その後緩やかながら回復基調で推移したものの、今年1月には再度の宣言発出があり再び経済への影響が懸念された。しかし、ワクチン接種の開始やその有効性の報告を受け、また中国経済の早期回復や米国経済回復の兆しを背景に製造業を中心に日本の企業の景況も回復の兆しを見せ始めたようだ。
3月3日、帝国データバンクが「TDB景気動向調査-2月調査」の結果レポートを公表している。これによれば、2月の国内景気は業種間で温度差があるものの、生産拡大などで3カ月ぶりにプラスに転じている。50を景気の良し悪しの閾値とする景気DIは前月比1.9ポイント増の35.8となった。未だ30台と低水準であるものの、レポートの予測では、半年後の2021年8月には39.0と20年2月時点を超え、1年後の22年2月には43.8と春以降緩やかに回復基調で推移すると見込まれている。
業界別に2月のDIを見ると、「製造」が35.6で前月比2.2 ポイントの増加で、前年同月の水準を上回る水準だ。さらに生産・出荷量DI、設備稼働率DI、設備投資意欲DIなどの指標も上昇しており、持ち直しの動きとなっている。特に、半導体製造装置製造などの「機械製造」や電子部品、プリント回路製造が含まれる「電気機械製造」が大きくプラスとなった。中国など輸出向けの生産増加が好材料となっている。
「サービス」は36.5で前年同月からの悪化幅は依然として大きい。「旅館・ホテル」や「飲食店」といった個人向けサービスでは低水準が続いる一方、「情報サービス」、コンサルタント等の「専門サービス」は40を上回っており業種間で温度差がみられる。
「建設」は40.6でプラスに反転、再び40台に回復した。5G関連やテレワーク向けのネットワーク設備関連が堅調な電気通信工事とプラント設備や運搬機器設置などの機械器具設置工事がプラスに寄与した。他方、オフィスや商業施設関連では持ち直しの動きに弱さがみられる。
「卸売」は33.3で上向き傾向。自宅内消費の高まりもあり「紙類・文具・書籍卸売」が好調。「機械・器具卸売」も持ち直しの動きが継続した。他方、アパレルなど「繊維・繊維製品・服飾品卸売」は2カ月連続で悪化し厳しい状況が続いている。(編集担当:久保田雄城)