新型コロナウイルス感染症流行の影響で日本の景気は低迷している。外食業や観光業など個人向けサービス関連は大打撃を受けているが、景気全体の低迷を受け広告業も前年比マイナスとなっている。しかし、広告費全体が低迷する中でもインターネット広告費は前年比プラスで推移し、さらにその内容も運用型広告やSNS広告、ビデオ広告など新しいタイプの広告が急速にシェアを拡大しているようだ。
3月10日、電通グループの4社(電通/電通デジタル/CCI/ D2C/)が昨年12月から今年2月にかけてインターネット広告媒体社等を対象に実施した調査を取りまとめたレポート「2020年、日本の広告費、インターネット広告媒体費:詳細分析」を公表している。
レポートによれば、20年の日本の総広告費は6兆1594億円で前年比88.8%となり、秋以降に回復の兆しが見られたものの前年を下回る結果となった。しかし、この内「インターネット広告費」は新型コロナの影響を受けたもののプラス成長で推移し、その市場規模は「マスコミ四媒体広告費」に匹敵する2.2兆円、総広告費全体の36.2%のシェアを占めるまで拡大した。
「インターネット広告費」から制作費等を差し引いた「インターネット広告媒体費」で評価すると、市場規模は1兆7567億円、前年比105.6%のプラス成長となった。運用型広告の拡大や巣ごもり需要によるソーシャル広告や動画広告の増加がプラス成長の背景となっている。
運用型広告は前年比109.7%で伸長し、インターネット広告媒体費全体の82.9%を占めるまでに至っている。一方、予約型、成果報酬型広告は減少となっている。SNSや動画共有プラットフォーム上等で展開されるソーシャル広告は前年比116.1%の5687億円となり、インターネット広告媒体費全体の3分の1近く32.4%となった。
動画広告は前年比121.3%の3862億円、インターネット広告媒体費全体の22.0%までシェアを伸ばし、内訳を見ると、動画コンテンツの間に挿入されるインストリーム広告が1800億円で構成比46.6%、ウェブ上の広告枠や記事のコンテンツ面等で表示されるアウトストリーム広告は2063億円、構成比53.4%と推計されている。今後の見通しは、21年に動画広告全体で前年比110.4%の4263億円になると予測している。(編集担当:久保田雄城)