2017年1月から「スイッチOTC医薬品」に分類される頭痛薬、風邪薬、病気予防のための薬などを年間に12000円以上(上限8万8000円まで)購入した場合、医療費控除の特例として所得控除を受けることが出来るセルフメディケーション税制開始された。
2017年1月から「スイッチOTC医薬品」に分類される頭痛薬、風邪薬、病気予防のための薬などを年間に12000円以上(上限8万8000円まで)購入した場合、医療費控除の特例として所得控除を受けることが出来るセルフメディケーション税制開始された。
これは健康増進及び維持をするためのセルフメンテナンスを遂行させるためのものであるが、国が抱える医療費の比重を少しでも軽減させたいと考える施策の1つとも言える。
現在、日本は超高齢化社会への一途を辿っているが、国負担の医療費がかさむ高齢者が増えていくことが明確になっているだけに、その負担を減らすためにもセルフメンテナンスという概念の啓発と検診や予防接種などの積極的な参加を促すものでもある。
というのも、このセルフメディケーション税制の条件として定期検診や予防接種を受けている個人が対象となっており、市販薬で所得控除を受けようとすると必然的に定期健診などを強制的に受けなければならないという構図になるのだ。
また、このセルフメディケーション税制の適用はあくまで医療費控除の特例であるため、年間に医療費が10万円以上の場合に受ける医療費控除を受けている人は特例を受けることはできないため、確定申告の際に個人がどちらの控除を受けるか選択することができるのだ。
だが、少し見方を変えてみて欲しい。ドラッグストアなどで風邪薬や頭痛薬を購入する年齢層は高齢者よりも若者世代もしくは働き世代が多く、病院に行く時間がないなどの理由でドラッグストアで購入するケースが多い。
しかし、高齢者の場合は医療費負担70歳から74歳までは2割、医療費の一番かかる割合が高い75歳以上は1割という優遇もあることから、薬価を考えると医療費控除の特例制度を受けたとしても病院を受診した方が安価で済むため、この制度が高齢者の国の医療費負担に歯止めをかける起爆剤になるとは言えないのではないだろうか。
国の抱える高齢者の医療費は働き世代の税収などで支えられているため何らかの手を打つ必要はあるが、それは高齢者を負担をただ減らすことだけを重視するのではなく、この制度を働き世代や子育て世代などももっと生かすことが出来るように制度自体が浸透していく活動が必要なのではないか。(編集担当:久保田雄城)