中国経済の復調で日本のマクロ経済も持ち直しの動きが見られる。しかし、コロナ禍の自粛ムードの中で回復の見通しも立たない業種も存在する。その代表は飲食業、宿泊業、旅客運輸業などだが、これ以外にも新型コロナの影響で顧客離れが著しく苦境に立たされている業種・業態は少なくない。その中の一つがブライダル関連業種だ。イベント関連業種全般が不調の中、ブライダル関連も挙式や披露宴の延期や中止が著しく業績は低迷、赤字転落に至る企業も増加している。
4月26日、東京商工リサーチが「全国ブライダル関連企業業績調査」の結果レポートを公表している。これによれば、ブライダル関連の主要198社の2020年決算の売上高合計は前期比11.4%減の5908億5,000万円、純利益の合計は119億2,800万円の赤字に転落し、減収減益となっている。
ブライダル市場は、これまでも少子化や婚姻数の減少等の影響で縮小傾向が続いていた。19年は改元に伴う「令和婚」ブームで売上高は前期比0.05%増と微増したが、20年は年初からコロナ禍に見舞われ、挙式や披露宴のキャンセルが相次ぎ売上、利益ともに悪化に反転した。20年決算は増収企業が構成比23.2%の46社に対し、減収企業は同69.6%の138社で、減収企業は全体の約7割を占めるに至っている。
売上高の前期比では10%未満の減少が構成比41.9%の83社で全体の4割を占め、前期比30%以上落ち込んだ企業は25社と全体の1割以上にのぼる。赤字企業は全体の35.8%を占め71社となっており前期から30社増加した。このうち業界大手のワタベウェディングは主力の海外挙式を催行できず20年12月期決算で減収・大幅赤字となり、連結ベースで債務超過に転落、3月19日に事業再生ADRを申請している。
ブライダル業界でもコロナ禍に適応するためオンライン利用の挙式や披露宴、写真撮影に特化したフォトウェディングなど「ウィズコロナ」の新たなサービスを生み出しているが、効果は限定的で、需要が回復する見通しも立たない現況だ。20年度の結婚式場の倒産は前年度を上回る9件発生、このうち7件が新型コロナの影響による。大型施設を保有する中堅規模以上ほど業態転換が難しいジレンマを抱えている。コロナ禍の生活様式の変化の中で新たなニーズをどれだけ汲み取ることができるか厳しい経営環境が続いている。(編集担当:久保田雄城)