コロナ禍、消えるレストラン。大手のみで1年間に678店閉店。宣言発出で急加速、雇用への影響大

2021年05月06日 06:14

画・コロナ禍、消えるレストラン。大手のみで1年間に678店閉店。宣言発出で急加速、雇用への影響大。

東京商工リサーチが上場「レストラン」の店舗数調査。1年間で678店減少

 2020年度の企業倒産は前年度より減少している。新型コロナの影響が直撃した飲食業でも酒類を提供する業態を除けば倒産企業は前年度比マイナスだ。これは政府の各種資金繰り支援策が功を奏したためと言われている。飲食業での企業倒産が全体として前年度比マイナスとはいえ、大手を中心に店舗数は大幅に減少しているようだ。店舗数の減少は非正規を中心とする雇用に大きな悪影響を及ぼす。

 4月23日、東京商工リサーチが「上場主要レストランの店舗数調査」の結果レポートを公表している。これによれば、レストラン運営の上場主要11社の店舗数は、直近決算期末で前年同期比7.4%減少、店舗数では678店が閉店した。有価証券報告書や四半期報告書などで推計すると、上場するレストラン運営11社の店舗数は直近決算(20年12月末、21年2月末)で合計8437店だった。前年同期は9115店だったので、1年間で678店が閉店となったという計算だ。11社のうちサイゼリヤのみ1092店と前年同期の1085店から7店舗増加している。

 東京商工リサーチが3月12日に発表した「大手居酒屋チェーン店舗数調査」では前年同期比12.5%減少の873店が閉店している。大手レストラン・チェーンでは、居酒屋チェーンと比べ店舗数の減少率は緩やかなものとなっているが、レストラン・チェーンでも都心部を中心に店舗撤退が加速傾向の模様だ。

 この1年の店舗数の推移を見ると、前年同期には9115店、最初の緊急事態が発出された次の四半期は9003店、夏の四半期は8919店、年末の四半期は8753店、そして今年直近では8437と一貫して減少傾向で、特に直近では閉店の勢いが加速している。首都圏を中心に通勤者の夜間利用が多い居酒屋に比べ、出店立地も広域で客層も多岐にわたるレストランは撤退などの対応が後手にまわっていたが、このところ加速傾向のようだ。

 2月の総務省の家計調査では、外食支出が前年同月比31.4%の大幅減少と依然厳しく、外出自粛・巣ごもりの定着で、新型コロナの影響は酒類以外の外食業も直撃しはじめ、11社中9社が直近決算で赤字を計上している。レストランはパート従業員など雇用の大きな受け皿になっている。店舗減少は学生からシニアまで幅広い層の雇用の喪失にも繋がりかねない。レポートは「規模の大きなレストラン事業者にも支援が必要」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)