五輪・パラ 中止望む声50時間で20万人超

2021年05月09日 09:05

 新型コロナウィルス感染症の感染が高止まりし、東京、大阪などへの緊急事態宣言が今月末まで期間延長されるとともに、まん延防止等重点措置地域が拡大されるなど、沈静化しないコロナ禍で、東京五輪・パラリンピック大会の「中止」を望む声が日に日に強くなっている。

 国内世論調査のどの調査でも7割を超え「五輪中止」「延期」の声が占め、今夏開催に対する反対ムードが広がる。予定通り国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が来日すれば「歓迎」どころか「帰れ」コールさえ出てきそうな様相だ。

 一部スポーツ紙は東京都での緊急事態宣言延長と五輪開催を歓迎しない国内世論を踏まえ、バッハ会長が17日の来日を見合わせるのではと報じている。ただ来日された場合には国内世論をどう受け止めるのか、感想を述べていただきたい。

 日弁連元会長で弁護士の宇都宮健児氏がネット署名で「人々の命と暮らしを守るために、東京五輪の開催中止を強く求めます」との活動を始め、わずか50時間で20万人を突破した。

 この署名はバッハ会長はじめ国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ会長、菅義偉総理、小池百合子都知事、東京五輪・パラリンピック委員会の橋本聖子会長らに提出される。

 署名文には「この状況で開催すれば『平和の祭典』であるはずの五輪は理念から大いに逸脱する。東京に来ても感染のストレスにたえずさらされ、厳しい制限を課せられては、満足のいくパフォーマンスを発揮することは不可能」と指摘。

 また「深刻な不足に直面している医療資源を五輪に回すことは、コロナ禍で疲弊している医療従事者の方々をさらに苦しめ、住民および参加者の命と暮らしを危険にさらすことになる」と警告。「五輪中止によって利用可能になった各資源を、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぎ、人々の命と暮らしを守るために向けることを強く求める」と訴えている。

 各国を代表するアスリートやその関係者、ボランティアらが万一感染し、重篤化ないし死亡した場合、菅総理や橋本会長ら五輪関係者に責任がとれるのか。コロナは「精神論」では対処できない。国民の声が届くことを期待する。

 宇都宮氏はツイッターで7日夕「東京オリンピック・パラリンピックの開催中止を求めるオンライン署名はアメリカ3大ネットワークの一つNBCでも報道されたようです。AP通信、ロイター通信からも取材要請が来ており海外メディアも注目する署名運動になってきています」と発信した。(編集担当:森高龍二)