五輪中止「先送りできないタイミング」と枝野氏

2021年05月11日 06:35

 立憲民主党の枝野幸男代表は10日の衆院予算委員会で新型コロナウイルス感染症の感染状況、変異型感染が拡大していることから、東京五輪・パラリンピック大会まで75日という中で「国民の命と健康を守るということとオリンピック・パラリンピック開催を両立させることは不可能と言ってもいいんじゃないかと残念ながら言わざるを得ない。もう判断の先送りはできないタイミングだ」と五輪パラ中止の決断を政府に求めた。

 それでも菅義偉総理は開催するかどうかの判断は国際オリンピック委員会(IOC)などと建前論で開催可否の答弁から逃げ、「政府としては国民の命と健康を守り、安心安全に大会ができるよう全力を尽くすことが私の責務だ」などと答弁した。

 菅総理は「開催にあたっては、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにする。厳格な行動管理を実施し、ルール違反した場合は大会参加資格をはく奪する」と強弁した。

 しかし、アスリート1万5000人とその関係者含め6万~9万人といわれる入国者に加え、ボランティア約7万5000人、報道人らを含め、毎日、PCR検査が可能か、総理の答弁からは安全安心を担保する具体策が全く見えていない。マスコミ各社の世論調査でも7~8割が今夏の五輪開催を「中止」または「延期」すべきとの意見。

 日弁連元会長で弁護士の宇都宮健児氏がネットで呼び掛けた「人々の命と暮らしを守るために『東京五輪の開催中止を』求めます」との署名には10日正午過ぎで31万人超が署名し、中止を望んでいる。「五輪中止で利用可能になった資源を感染拡大防止と人々の命と暮らしを守るために向けるよう」提案する。

 一方、選手らに対して五輪出場を辞退するよう求める声や五輪開催に反対するよう選手に協力を求める動きに対しては、宇都宮氏はツイッターで「五輪中止を求める相手は選手ではなく、主催者であるIOC(国際オリンピック委員会)、IPC(国際パラリンピック委員会)、国、東京都、五輪組織委である。当然のことながら選手にはいっさいの非はない。見通しの立たない辛い状況に置かれている選手をこれ以上苦しめてはならない」と選手に開催是非の負担をかけないよう呼び掛けた。

 五輪開催を巡っては9日、国立競技場で行われた陸上の五輪テスト大会に合わせ、競技場周辺で「五輪よりコロナ対策」「オリンピックより命を守れ」「オリンピック反対」とコロナ禍での五輪開催をしないよう求めるデモも起こっている。(編集担当:森高龍二)