TDKだけではない、相次ぐリコール製品起因が疑われる火災

2013年02月24日 17:01

 長崎市で発生したグループホーム火災の火元が、TDK<6762>がかつて販売していた加湿器である可能性が極めて高いと発表された。このことが報道等で大きく取り扱われる理由には、多数の方が亡くなった原因とみられるからだけでなく、その製品がリコールされていたものであることが挙げられるであろう。リコールされた商品は、広く世間に周知される必要がある。その為、通常は企業の手によって新聞やテレビなどで告知される。しかし今回の件でも分かる通り、発信されたリコールの情報実際に受け取っている消費者は多くなく、リコール対象製品が事故を起こしている事例は後を絶たない。

 消費者庁が2月21日に公表したところによると、2月8日と10日にノーリツ の製造した石油給湯機及び石油給湯機付ふろがまから出火する火災が発生している。当該製品は、平成14年から10月24日から無償改修を開始し、平成18年12月4日にも再度新聞広告を掲載。また平成21年12月からは戸建住宅へのチラシ直接配布や、全国石油商業組合連合会・全国石油共済協同組合連合会を通じて、灯油の納入先にリコール対象製品がないのかの確認を行うなど、注意喚起、対策は実施していた。改修対象製品には、ノーリツブランドのほか、髙木産業(現パーパス)のパーパスブランド、日立化成工業(現ハウステック)の製品も含まれており、対象台数は18万900台であったが、平成25年1月31日現在の改修率は98.4%となっている。

 また、千石が輸入し、日本エー・アイ・シーが販売した石油温風暖房機でも2月15日に火災が発生し、2名が負傷している。こちらもHPでの掲載、販売店内告知、使用者へのダイレクトメール、新聞広告などを実施していた。当該製品の改修対象台数は15万1182台にも上るにも関わらず、1月末時点での改修率は23.1%と低い。販売が平成22年8月から12月と比較的最近であるため買い替え等も進んでいないと予想され、対策が急務と言えるであろう。

 さらに2月6日には、松下電器産業(現パナソニック<6752> )が製造した電気コンロからも、火災が発生している。現在調査中とされているものの、その原因は、身体等が当該製品のつまみに触れてスイッチが入り、製品上に置かれていた可燃物に引火したものと考えられている。この製品はリコールを発表した当時、ニュースでも多く扱われ、電気コンロメーカー及びキッチンユニットメーカー13社が平成19年に「小型キッチンユニット用電気コンロ協議会」を設立し、新聞広告や折り込みチラシの配布等を実施していた製品である。ニュースで大きく取り扱われただけに改修率は比較的高いが、70%を切っている対象製品もあり、十分とは言えない状況にある。

 今年の2月だけでも、これだけのリコール対象製品に起因すると見られる事故が発生している。企業側としては必要な告知をしているつもりなのであろうが、いずれも通り一辺倒の告知しかしておらず、本当に届けるべき対象者に情報が届いていない現状が浮き彫りになっていると言えるであろう。今回問題となったTDKの加湿器の場合も、製品が発売されたのは1998年9月であり、翌年の1999年1月にはリコールを届け出ている。販売された期間が短いにも関わらず22日現在の回収率は57.9%と報じられるなど、告知効果の薄さが窺える。告知方法のメインとも言える新聞広告や折り込みチラシに関しては、リコールが掲載されるスペースは他の広告同様、読み飛ばす人が多い。新聞の購読率低下に伴って、告知効果は今後益々薄れるであろう。また、それに代わるHPでの告知も、新製品購入後に理由もなく製品メーカーのHPを確認する人や、消費者庁のリコール情報を定期的に確認する人は希であり、効果的な告知とは言えない。テレビCMが比較的効果的であろうが、実施する企業は少ない上に、近時は録画した上でCMを飛ばして視聴する傾向が強まっているため、徐々に効果は薄れるであろう。改修率の高い製品をみると、利用確率の高い消費者の元に直接アプローチが可能な製品が多い。となると、不謹慎な話ではあるが、それら以外の製品の場合は、連日各媒体で大きく扱われるような事故を発生させることが一番効果的な手段と言えるのではないだろうか。そして、それは避けられるべき事態である。リコールの在り方について、あるいは製品を販売する際の流れについて、根本から考え直す必要があるのではないだろうか。(編集担当:井畑学)