岸防衛相の抗議発言にネット上で批判相次ぐ

2021年05月19日 06:47

 自衛隊が運営する高齢者向け新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターへの予約システムで東京会場分では「架空情報でもできてしまう」欠陥がマスコミに指摘され、岸信夫防衛大臣は18日の記者会見でシステムの一部を改修するとした。

 朝日新聞出版と毎日新聞が架空情報でも予約できることを入力確認(確認後に予約取り消し)し、欠陥を報じた。確認行為に対して、岸防衛大臣は「悪質な行為で、厳重に抗議する」と述べた。

 岸大臣の抗議発言にネット上では批判があいついでいる。「予約システムが完全か否かを確認した報道メディアを叱責するより、不完全なシステムで立ち上げた防衛省やシステム受注したシステム屋を指導しないのか」

 「システムはこうしたことを考慮して構築するのが当たり前」「朝日出版、毎日新聞には、テストをしてくれたんだから感謝しなくっちゃ」。「抗議するというのはお門違い。取材目的でやってる人たちはキャンセルしますが、悪戯やテロ目的の人はキャンセルなんてしない。むしろ欠陥を発見してくれてありがとうくらいの謙虚な気持ちを持つべきです」

 「そもそも、朝日や毎日が報道しなかったら、この手抜きがスルーされ、悪意のある人が大量の架空予約を出して、当日、誰も会場に来ずに、大量のワクチンが廃棄、とかいう目も当てられない惨状が展開された可能性もある」「初めからいい加減なシステムとわかっていて、運用を開始した方に問題があるのでは」などなど。

 IT技術者だという方は「接種券番号を把握しているのが各自治体だけであって、防衛省の予約システムから照会する仕組みが直ぐに構築できないのであれば、この問題がおきるのは直ぐにわかること」と書き込んだ。

 そのうえで「防衛省の予約システムを製造した末端のプログラマーは『こんなお粗末なシステムで良いの?』という疑問を持ちつつも『上がOKというなら良いんだろう』と割り切って開発したことだと思います」とし、「この問題が有ることが分かっているのであれば、自治体と国の二本立てで接種するのではなく、接種は自治体が行い、国がそれをサポートするような体制は組めなかったのでしょうか」と対応のまずさも指摘。「五輪開催に向けて接種率を早く高めたいために、行きあたりばったりで『防衛省にやらせろ』と指示した総理にも責任があると思います」と発信した。(編集担当:森高龍二)