菅義偉総理は主要7か国首脳会議(G7)を利用し、「安全・安心な東京五輪・パラリンピック大会開催に万全な感染対策を講じるので、選手団を派遣してほしい」と強力に要請した。
この結果、首脳宣言には「新型コロナウイルス感染症克服に向けた世界団結の象徴として、安全で安心な五輪開催を支持する」との文言が盛り込まれた。五輪開催支持への国内世論を増やす環境づくりへG7各国首脳に協力を呼び掛け、わざわざ後押ししてもらわなければならない状況を浮き彫りにした格好。
宣言を受け、菅総理は「全首脳から力強い支持を頂いた。支持を心強く思う。東京大会を何としても成功させなければならない」などと五輪開催を結論づけた。
菅総理は国会や党首討論では「国民の命と健康を守るのが私の責任。(国民の命と健康を)守れなければ(五輪は)やらない」と断言し、五輪担当の丸川珠代大臣は11日、記者団の質問に、五輪を開催するか、しないかは「さまざまな大会準備に関連する時間的猶予が必要なので、きちんと専門家の意見も伺いながら、まず、観客上限を決めるときに(大会を中止するかどうかも)しっかり検討していきたい」と今後の判断とした。この政府の内政・外交の発信の齟齬(そご)は、国民に対する二枚舌としか映らない。(編集担当:森高龍二)