2020年はパンデミックの影響で世界の自動車市場は大きく停滞した。しかし、その中で次世代の車であるxEV(電動自動車)の売れ行きは好調であったようだ。21年、すでに世界の自動車市場は復調しているが、今後ますますxEVへのシフトが加速する見込みだ。7月9日、市場調査業の富士経済が「2021年版 HEV、EV関連市場徹底分析調査」の結果レポートを公表しているが、これによれば、20年のHV、PHV、EVを合計した世界市場の規模は19年比22.1%増の585万台となっており、コロナの影響で既存の内燃車の販売が停滞する中、xEVの販売は前年比増の好調であったようだ。
車種別で見ると、HVが前年比105.9%の269台、PHVが同165.5%の96万台、EVが同131.7%の220万台と、EVの伸び率、台数はとも好調で、コロナ禍でEVへのシフトが始まったようだ。電動化への動きが鈍かった欧米自動車メーカーも電動化に大きく舵を切った。背景には、欧州での厳格な環境規制への対応があり、多くの新型電動車が市場に投入されたことで、20年はEVシフト元年とも言える活況年となった模様だ。各国のインセンティブ政策や充電インフラ整備などの進展により、自動車メーカーはEVやPHVの販売を強化しており、内燃車からの撤退を発表する自動車メーカーも増加傾向だ。今後電動車へのシフトが加速するとみられHV、PHV,EVは順調に伸びると見込まれるが車両価格の低下やインフラの整備進展を背景に長期的にはEVが電動車の主役となり、22年にはEVの販売台数がEVを上回り本格的なEVシフトの年となると見込まれる。
35年での予測ではHVが20年比5.1倍の1359台。内燃車からの移行が増加、ASEAN・東アジアでは低価格コンパクトカーの需要が増加する見込みだ。PHVは同11.9倍の1142台、30年以降は北米や電力供給が不安定な新興国の需要がけん引する見込みだ。EVは同11.0倍の2418台、車両価格の低下により大幅に拡大、22年にHVの市場を超え、以降は電動車の主役になると予想される。
20年はCO2排出量や燃費平均を上げる環境規制に対応するため内燃車の生産量を減らしてEV生産を優先する傾向がみられた。各メーカーの内燃車からの撤退も加速しており、EVの平均価格も低下している。今後ますますEVへのシフトは加速すると予想され、各エリアで順調な伸びが期待されるが、特に欧州と中国の需要が市場をけん引するとみられる。(編集担当:久保田雄城)