勤労者、「政府を信頼しない」8割。ポストコロナに懐疑的、テレワークからオフィス回帰へ。~日本生産性本部調査

2021年07月30日 06:16

画・勤労者、「政府を信頼しない」8割。ポストコロナに懐疑的、テレワークからオフィス回帰へ。~日本生産性本部調査

日本生産性本部 が「働く人の意識調査」。政府に対しては「信頼していない」が76.9%と過去最多

 新型コロナの流行は社会のあり方を大きく変えた。日本ではテレワークやオンライン受業などの実施過程で日本のICTがいかに世界から遅れをとっているか再認識させられ、DXやIT投資が前倒しで進むことになった。制度はありながら活用する者がほとんどいなかった在宅勤務も一時は4割台にまで普及をみせ、ポストコロナを意識した働き方の改革も加速した。一方、政府のコロナ対策は後手後手感や国民の困窮の実態にそぐわない施策も多く国民からの批判を浴びている。コロナ禍が長期化する中、こうした状況を背景に国民・勤労者の意識も変化を見せてきているようだ。

 7月16日、日本生産性本部が第6回目になる「働く人の意識調査」の結果を公表している。これによれば、勤労者は景況の持ち直し、業績不安の軽減などで明るい兆しを感じている一方、コロナ収束後の、いわゆるポストコロナ社会への移行については懐疑的になってきているようだ。

 現在の景気について聞いた結果では、「やや悪い」、「悪い」の合計が69.4%と7割を下回り、1年前の7月調査の78.2%と比較して有意に減少している。今後の見通しについては、「良くなる」と「やや良くなる」の合計17.3%は前年調査より増加し楽観的な見方が強くなり、逆に「悪くなる」と「やや悪くなる」の合計42.7%は前年より減少で悲観的な見方は弱まってきている。しかし、政府に対しては「全く信頼していない」と「あまり信頼していない」の合計が76.9%と過去最多を記録、政治・行政への信頼は失墜したままだ。

 働き方の変化については、テレワーク実施率は20.4%で、前年7月調査以降、約2割で推移しているが、直近1週間での出勤日数が「0日」の完全テレワークの割合は11.6%と過去最少となり、オフィス勤務への回帰が進んでいるようだ。コロナ収束後のテレワーク継続意向については、継続に意欲的な者の割合は74.1%と4月調査の76.8%より減少しており「テレワーク疲れが懸念される」とレポートは指摘する。

 コロナ収束後の働き方や生活様式の様々な変化の可能性について項目別に聞いた結果では、全ての項目について「起こり得る」の回答割合が4月調査より減少しており、ポストコロナ社会の到来には懐疑的になってきているようだ。レポートでは「雇用者の意識は『ポストコロナ』の新しい社会の到来の可能性に否定的で、むしろコロナ以前の社会に戻るのではないかという考えが強まっている」と分析している。(編集担当:久保田雄城)