企業CSRから学ぼう! コロナ禍でもできること

2021年08月01日 08:10

植樹の様子①

CSR活動の一環として、森林の維持・管理に取り組む企業は多いが、CO2削減などの目的のためだけでなく、地域の災害防止の面でも非常に大きな意味がある

 四方を海で囲われ、山林も豊富なこの国には、自然の恵みが満ち溢れている。その反面、自然災害の恐怖とは常に隣り合わせだ。国土交通省の調べによれば、洪水・土砂災害・地震災害・津波災害のいずれかの災害リスクがある地域は、国土全体の約30%にも及ぶそうだ。更に災害リスクに曝される人口は、全体の67.5%であり、2050年には全体の70%に至るとの予測もされている。コロナ禍でウイルス対策に目が行きがちだが、自然災害への備えも怠ってはならない。

 記憶に新しい災害で言えば、7月3日に静岡県熱海市で起きた土砂災害だ。土砂によって家屋や建物が押し流され、多くの尊い命が犠牲になった。原因は現在究明中だが、土砂災害が起きた時に注目されるのが、山の乱開発と森林の重要性だ。山林の管理が行き届いていれば、樹木の根が網の目となり、地盤の侵食や崩壊を防ぐストッパーの役割を担ってくれる。ところが、乱暴な開発が行われたり、管理不足に陥っていると、自然のストッパーが失われ、土砂災害が発生するリスクが高まってしまう。開発も重要だが、森林の管理はそれ以上に重要なのだ。

 CSR活動の一環として、森林の維持・管理に取り組む企業は多いが、CO2削減などの目的のためだけでなく、地域の災害防止の面でも非常に大きな意味がある。

 「NEXCO西日本」で知られる西日本高速道路株式会社では、2008年度から西日本各地の地方自治体と協力し、森林保全に取り組んでいる。2019年度はグループ社員とその家族も参加するほどの広がりを見せている。植樹活動に加えて、樹木の生育の妨げになる雑草や草刈りを、西日本の自治体2ヶ所で行なっている。今後も引き続き、森林保全に取り組むそうだ。

 小売業大手のイオン株式会社でも、1991年よりユーザー参加型の植樹活動が行われている。新しい店舗がオープンする際に、その地域の人々が参加して植樹する「イオン ふるさとの森づくり」という活動だ。この活動の広がりは、地震による甚大な被害を受けた東北地方の復興にも役立てられている。「イオン東北復興ふるさとの森づくり」という名で、津波によって失われた緑を取り戻す為、自治体やNPOと協力し、10年に渡って30万本もの植樹をする計画だ。

 国内外に植樹活動を展開し、植樹総本数が220万本を超える企業も存在する。国内大手はちみつメーカーの山田養蜂場だ。1999年から開始された海外での植樹活動は、今年も継続して行われ、中国雲南省の山火事による荒廃地に、2万本の植樹を成功させた。例年では従業員が現地に赴き、地元住民と共に植樹が行われていたが、コロナ禍においても日本からのリモート指導で活動を継続している。

 同社の植樹の特徴は、他社のそれとは一線を画している。同社は、ただ木を植えて増やすのではなく、世界的に高い評価を受けている生態学者・宮脇昭氏が提唱する「宮脇式植樹」を実践しているのだ。宮脇式植樹では「その土地本来の森であれば、火事や地震などの自然災害にも耐えられる」という考えのもと、植樹で採用されがちな単一樹種の画一的な植樹を避け、その土地に合った常緑広葉樹を密植・混植することによって、山火事の再発を防ぐことを念頭に置き、文字通り、地域に根差した活動を行なっている。

 もちろん、残念ながら、いくら植樹活動を行なっても、自然災害が無くなるわけではない。昨日植えた木が、今日の豪雨から守ってくれることもない。だが、未来に起こるかもしれない自然災害を抑止、または軽減してくれる可能性は高くなる。コロナ禍においても、明日を信じて木を植える植樹活動から、学べる部分が数多くあるのではないだろうか。(編集担当:今井慎太郎)