コロナ禍の長期化で経済活動制限も長期化し、企業の経営体力も限界に近づいている。コロナ以前が既に景気後退局面であったこともあり、企業の3社に1社が既に過剰債務の状態にあるという統計も出ている。政府の資金繰り支援が奏功し2020年中は倒産も抑制されていたが、21年に入ってからは売上の回復の目途が立たないまま借入金の返済がスタートし、負債額が膨らむ前にみずから破綻を選択する「あきらめ型倒産」が増勢を強めている。既に資金繰り支援だけで乗り切れる時期は過ぎ、本業自体を再建するための支援が必要な局面になっているようだ。
8月24日、東京商工リサーチが8月上旬に実施した第17回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査の結果レポートを公表している。これによれば、新型コロナの影響が「継続している」と回答した企業は71.1%。規模別では、大企業(資本金1億円以上)が78.5%、中小企業(同1億円未満)では69.7%となっており7割超でコロナの影響が続いている。
21年7月の売上高が19年と比べ「半減以下」となっている企業の割合を業種別に見ると、「宿泊業」44.7%、「飲食業」40.9%、「生活関連サービス・娯楽業」29.2%の順で続き、やはり「宿泊業」と「飲食業」の販売不振が目立つ。
「資金ニーズ」については、「ない」が大企業で57.4%、中小企業57.0%で約6割を占めているが、業種により格差があり、また資金ニーズの内容にも業種間でバラツキが見られ、コロナ長期化の中で企業の置かれている状況も多様化しているようだ。
「廃業検討率」については、大企業では1.19%とわずかだが、中小企業では7.6%と6月調査の8.3%から低下しているというものの大きく減少する気配は見られない。「平成28年経済センサス-活動調査」によると中小企業数は357万8176社となっており、これで単純計算すると中小企業27万社がコロナ禍の長期化、先行き不透明の中で廃業を検討していることになる。
再生支援協議会や事業再生ADR、民事再生法などを活用した「事業再生」については、中小企業の5.6%が「意向あり」と回答しており、同様に単純計算すると20万社を超える中小企業で「抜本再生」局面と推計される。レポートは「資金繰り支援に重点が置かれてきたが、時間の経過とともに企業間でニーズが異なってきている。資金繰り支援だけでなく、本業支援などの経営改善に繋がるサポートプログラムも求められている」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)