新型コロナの感染が爆発している。既に東京を中心とする首都圏では医療崩壊とも言える深刻な事態になっている。夏の流行が収まったとしても年末からの冬シーズンはラムダ株の広がりとともに夏の10倍の流行を予測する声も少なくない。この事態に向けロックダウンという声も出てきているが、多くの企業が1年半を超えるコロナ禍で既に経営体力を失っており、業績回復が見込めないまま返済がスタートする過剰債務の状態で、ロックダウンに耐えられる状況には無いようだ。過剰債務の状況にある企業はコロナ関連とそれ以外を合わせると3社に1社にのぼり、先行き不透明の中、負債が増大する前に廃業を決意する「あきらめ型倒産」、「息切れ倒産」が今年に入って増加傾向となっている。
東京商工リサーチが8月2日~11日にかけて企業の「過剰債務の状況」についてアンケート調査を実施し、17日にその結果レポートを公表している。これによれば、「コロナ前から過剰感がある」と回答した企業の割合は13.2%、「コロナ後に過剰となった」は19.6%で、両者を合わせ32.9%の企業が「過剰債務」の状況にあると回答している。6月の前回調査の31.6%と比較して2カ月で1.3ポイントの上昇だ。中小企業(資本金1億円未満、個人企業等)のみでは35.7%となり、6月から1.5ポイントの増加となっている。
各種支援により倒産自体は抑制されているものの、「資金繰りが一時的に緩和しても、業績不振から抜け出せない企業が水面下で過剰債務に直面している」とレポートは指摘する。業種別では、飲食店が79.6%、宿泊業78.0%と8割近くに及び、続いて娯楽業65.3%と、やはりコロナが直撃した業種が上位を占めている。
「過剰債務」の状況にあると回答した企業のうち、「事業再構築の意向はない」は30.0%となっており、過剰債務が足かせで「取り組み不可能」が15.4%、「取り組み規模縮小」は18.9%、34.3%の企業で過剰債務が事業再構築にマイナスの影響を与えているようだ。リスケ型支援で資金繰り破たんは回避されているが、売上回復が見込めない中でリスケ支援策が過剰債務を誘発する結果にもなっている。過剰債務が事業再構築の足かせになっており、「政府の描く事業再構築が理想倒れに終わる恐れも出てきた。成長戦略と同時に過去の債務への抜本的な対応が必要な時期が迫っている」とレポートは指摘している。(編集担当:久保田雄城)