コロナ禍でも人手不足の状況は続いている。直近の有効求人倍率は6月の1.13倍で前月から0.04ポイントの上昇となっている。コロナ前の2019年では1.6倍を超えていたが、20年には新型コロナの影響で急減し9月に1.03倍まで低下したものの1倍を下回ることはなく、21年1月には1.1倍まで上昇し、再び人手不足感は強まってきている。飲食店等の個人向けサービス消費関連は感染拡大に伴う営業制限など苦しい経営を余儀なくされているものの、営業継続には人手が必要で、売上減少の下での人手不足という苦しい事業運営を強いられているようだ。
8月24日に帝国データバンクが「人手不足に対する企業の動向調査(2021年7月)」の結果レポートを公表しているが、これによれば企業の人手不足感は再び上昇傾向で、多くの業種で不足感が高まる一方、過剰感が続く業種も少なくなく、雇用情勢は業種によってバラつきがみられる。
正社員が不足しているとする企業の割合は40.7%となっており、20年5月の29.1%を底にして再び上昇傾向となっている。業種別にみると、「建設」が57.5%と最も高くなっている。また、「自動車・同部品小売」や「輸送用機械・器具製造」など、世界的に市場が回復傾向の自動車関連業種が上位にあがっている。
一方、非正社員が不足していると感じている企業の割合は22.5%で前年同月と比べ5.9ポイントの増加となっている。業種別に見ると、「飲食店」の56.4%がトップで、6割近い飲食店が営業制限で売上が落ちている中で人手不足にも悩まされているようだ。前年同月と比べると17.8ポイントの増加となっているが、コロナ前の2年前との比較では23.6ポイントの減少だ。次いで総合スーパーなどを含む「各種商品小売」が前年同月から1.2ポイント増加の48.8%など個人消費関連の業種で非正社員の人手不足感が目立っている。
逆に過剰感の強い業種を見ると、コロナの影響が直撃した「旅館・ホテル」で正社員の不足が42.5%とトップだ。前年同月の57.6%に比べ低下してきているというものの、依然高水準で苦しい経営を強いられているようだ。飲食店は人手が過剰と感じている企業の割合でも正社員、非正社員ともにトップ5に入っており、業態により人手不足な企業と過剰な企業に割れているようだ。(編集担当:久保田雄城)