大企業社員の44%、DX推進に否定的。「意味がない」「わからない」などで3割がDXに「関わりたくない」

2021年10月03日 09:38

画・大企業社員の44%、DX推進に否定的。「意味がない」「わからない」などで3割がDXに「関わりたくない」。

IGS株式会社が「DX業務に関する意識調査」。大企業の社員、DXの推進活動に「関わりたくない」3割。44%がDXに否定的・無関心。理由は「一時の流行にすぎない」「方法がわからない」など。

 DX推進が急務となっている。DX化は産業の生産性を向上させ国際競争力とも直結する。しかし、日本ではDX推進へのモチベーションが著しく低いようだ。日本のICTが世界から数十年遅れていると指摘されてから久しい。スキルの高いIT人材が乏しいことも日本産業の大きな問題点だ。欧米ではマネジメントクラスをITエンジニアが占めていると言われるが、日本ではそうした企業は少数派だ。DX推進においては経営層の強いリーダーシップと中堅社員の深い理解が必要だが、日本企業では経営層はもちろん現場を統括する中堅社員でもDX推進のモチベーションは極めて低い状態のようだ。

 人材評価システムを開発・販売するIGS(Institution for a Global Society 株式会社)が、従業員規模1000名以上の企業の社員298名を対象として8月上旬に「DX業務に関する意識調査」を実施、その結果レポートを9月9日に公表している。これによれば、「大企業人材の44%がDX業務にネガティブ・無関心である実態が示唆された」と調査結果をまとめている。「DXやデジタルビジネスの推進活動に関わる際に感じること」を複数回答で聞いた結果では、「面倒くさそう」「大変そう」「自分に務まるか不安だ」「やりたくない」「特に関心はない」などネガティブ・無関心の項目のいずれか1つ以上選択した者の割合は44%となっている。

 「DXやデジタルビジネスの推進活動に関わりたいか」との質問に対しては、「できれば関わりたくない」、「絶対に関わりたくない」と答えた社員の合計は30%となっている。年代別に見ると40代の38%が最も高く、50代で32%、60代32%と企業全体や現場でリーダーシップを取るべき世代で3~4割と若い世代より高くなっている。

 DXに関わりたくない理由は、「データは役立たない」、「一時的な流行で取り組む意味はない」など「DX矮小化」が10%、「方法がわからない」、「わからないことは手を出さない」など「境界線の維持」が65%、「評価が下がりそうなことには関わらない」など「評価が心配」が8%となっており、DXが理解できないから否定的・無関心というスキル・知識不足がDX推進への抵抗要因として最も大きいようだ。レポートでは「未経験のデータ活用への抵抗や、新しい業務を避ける傾向が強く出た」と指摘している。トップのリーダーシップによる強い意識改革が必要なようだ。(編集担当:久保田雄城)