環境保全にも配慮した次世代モビリティ(電動トライク、電動ミニカー、超小型モビリティ)は、超小型モビリティが昨年2020年の規則改正によって軽自動車の新区分と位置づけられ国内販売が可能となり本格的な普及の時代が始まった。昨年3月の矢野経済研究所のレポートでは3000台程度の販売が見込まれていたが、実際の20年中の販売台数は次世代モビリティ全体で510台にとどまっている。レポート内でも指摘されているが、次世代モビリティについては他の車種と比較した「お得感」を出す上で価格や免許制度、税制等の様々な課題が残されている。こうした様々な課題をクリアしつつ当面は緩やかな市場拡大となりそうだ。
10月14日、矢野経済研究所が2021年版の「次世代モビリティ市場に関する調査」の結果レポートを公表している。これによれば、20年中の次世代モビリティの販売台数は510台、21年は積極的予測で1510台、保守的予測で1310台となっている。この市場の予測は制度整備の動向など不確実性が高いようで、積極的予測と保守的予測の2つが示されている。25年の積極的予測は1万1350台、保守的予測は4620台、30年には積極的予測で10万2700台、保守的予測で3万1030台となっており、2つの予測には大きな幅があり、今後の制度や市場のあり方で状況は大きく変わりそうだ。
現時点の次世代モビリティは「機能は二輪車に近く、価格は軽自動車並み」であり、独自の目新しいメリットが少ないことから普及に向け様々な課題を解決する必要がある。トライクやミニカーの場合、税制面などランニングコストの低下となるメリットがあるが、超小型モビリティは軽自動車の一種と位置づけられたため、軽自動車に代わるメリットが存在するかというと、税金も軽自動車と同じになるなど、現時点ではその可能性は薄い。車検や車庫証明についても電動ミニカーの優位を際立たせ、軽自動車に代わる「お得感」が出せない状況だ。また自動車保険のあり方も購入意欲に大きく影響しそうだ。次世代モビリティは「小型」であることが路上駐車などで一つの強みになると期待されるが、これについても法制度上、ハード上の整備が必要になる。
持続可能な発展を考えた場合、次世代モビリティの普及は必要不可欠であるが、ユーザーの購入意欲を向上させ普及につなげて行くには価格や機能、制度面の整備など様々な課題をクリアする必要があるようだ。(編集担当:久保田雄城)