米国は中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区を巡る人権侵害問題に抗議するなどの目的から、来年2月の中国北京冬季五輪に政府代表を派遣しない「外交的なボイコット」を表明した。これに日本政府としての受け止めと日本政府の対応を記者団に聞かれ、松野博一官房長官は「北京冬季五輪への各国の対応についてのコメントは差し控えたい」とした。
そのうえで「外交的ボイコットが何を意味するのかは必ずしも明らかではない」とし「日本政府としての対応については、適切な時期に、諸般の事情を総合的に勘案して、自ら判断する。現時点では何も決まっていない」と述べた。外交的なボイコットがどのレベルでのものをいうのか、精査したい考えも示した。G7各国の対応も含め判断していくとみられる。
松野長官は「政府としては、北京冬季五輪がオリンピック及びパラリンピックの理念に則り、平和の祭典として開催されることを期待している」と述べた。
米国から同調するような要請があったのかについて、松野官房長官は「日米間では日ごろから緊密に連携しているが、外交上のひとつひとつにコメントすることは差し控えたい」と言葉を濁した。
自民党外交部会長の佐藤正久氏は日本も同じ価値観を持つ同盟国として同調すべきとの姿勢を示すとともに「そもそも中国は東京五輪に中国オリンピック委員会長を派遣」してきたとして「日本もJOC会長の選択肢も」あるのではとSNSに投稿している。
佐藤氏は8日には「日本も外交ボイコットに向けて一歩、一歩進んでいる兆候。岸田総理は人権だけでなく『国益』に照らして判断すると踏み込んだ。国益には主権や外交的観点も含まれる」と投稿した。(編集担当:森高龍二)